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[三軍1期生の真実]飢えた若鷹を育て上げよ 千賀滉大/牧原大成/甲斐拓也
posted2025/10/25 09:00
'22年9月25日のロッテ戦後、お立ち台に立った千賀(左)と甲斐(右)が牧原を呼び、同期3人で記念撮影
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Ryoji Hanjo
今季パ・リーグ連覇を果たしたホークスからプロ野球史上最多となる1チーム8人のタイトルホルダーが誕生した。注目したいのが首位打者の牧原大成、盗塁王の周東佑京、最高勝率の大関友久と育成ドラフトを経由した選手が3人もいたことだ。
この中でプロとして最もキャリアが長いのが15年目の牧原である。過去に育成出身選手が打率や本塁打、打点といった打撃部門の主要タイトルに輝いた例は一度もなかった。寡黙で控えめな牧原は祝福の言葉を向けられると、喜びをかみしめるように潜めていた思いを小さな声で吐き出した。
「やっと千賀と拓也に追いつけました。やっぱり2人の方が目立っていたから。僕も仲間入りできた。これからは胸を張って、一緒にやってきた同期だと言えるかな」
2010年ドラフト――ホークスは支配下で5名、育成で6名の若者たちにチームの未来を託した。
ドラフト会議が育成指名に入ると、ほとんどの球団は早々に“仕事”を終えていく。会場に空席のテーブルが目立ち始めた頃、下位3人の名前は読み上げられた。
〈育成4位。千賀滉大、投手、蒲郡高校〉
〈育成5位。牧原大成、内野手、城北高校〉
〈育成6位。甲斐拓也、捕手、楊志館高校〉
3桁の背番号を与えられて、どうにかこうにかプロに引っかかった彼らだが、なかなかどうして球界でも顔と呼べる選手へと大化けした。千賀は今やメジャーを舞台に腕を振るようになり、牧原はついに史上初の育成出身の首位打者として名を刻んだ。甲斐もまた“甲斐キャノン”の代名詞とともに'18年日本シリーズでMVPに輝くなどスターダムにのし上がった。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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