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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「先発時代、試合中にセルフ投げ込み」ソフトバンクCS突破の立役者“新・守護神”杉山一樹の豪快すぎ素顔「監督、杉山が宇宙と交信しています」
posted2025/10/21 18:30
シーズン31セーブでセーブ王の杉山。CSでもソフトバンクが勝利した3試合すべてに登場した
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph by
Hideki Sugiyama
立場が人を創るのか、そもそも、適性があったのか。
もはや、どちらでもいいのかもしれない。ソフトバンクの守護神・杉山一樹は、6月からストッパーの座に定着し、セーブ王のタイトルも獲得した。
先に王手をかけながらの3連敗で迎えたCSファイナル・第6戦。勝てば日本シリーズ進出。負ければ、その瞬間に2025年の戦いは終わる。
強力クリーンアップに立ちはだかった守護神
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「むちゃむちゃ、緊張しました」
己の右腕に、チームの浮沈が託されている。
1点リードで迎えるのは、強力・日本ハム打線のクリーンアップ、フランミル・レイエスに始まり、4番・郡司裕也、5番・清宮幸太郎。「しかも、レイエスからだったので、ずっと緊張していました。落ち着いてはいないです」
そんな述懐が、嘘のような快投ぶりだった。
今CSで4本塁打。敵地を何度も沈黙させたレイエスにも真っ向勝負。カウント2ボールから155キロのストレート、続く141キロのフォークで空振りを奪い、2ボール2ストライクと追い込んでの5球目、迷いなく156キロの剛速球で見逃し三振。
捕手・海野隆司からサインが出ると、ひとつうなずき、テンポよく投げ込んでくる杉山のペースを少しでも乱そうと、郡司も何度となく打席を外したりしたが、そんなのお構いなし。カウント3ボールから、155キロ、156キロとストレートを連発すると、最後は144キロのフォークで空振り三振。清宮も143キロのフォークで左飛に打ち取り、全く危なげのない13球で激闘を締めくくった。
7年目の抜擢
ロベルト・オスナの不調から、ストッパーに抜擢された7年目の27歳。1メートル92センチの長身、ウエートトレで鍛えた107キロの体躯。最速160キロのストレートに、誰もが魅力を感じながら、伸び悩み続けてきたのは、長身投手にありがちな制球難だった。

