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「正直、野球をできるメンタルではなかった…」DeNA蝦名達夫28歳が悲劇を乗り越えて1番に定着した“覚悟”「恩返しのためにも日本一連覇を」
posted2025/10/06 11:01
後半戦でトップバッターに定着し、打率.284、8本塁打、41打点とすべてキャリアハイの成績を残した蝦名の「分岐点」になった悲劇とは……
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石塚隆Takashi Ishizuka
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JIJI PRESS
これから始まるポストシーズンに向け、横浜DeNAベイスターズの蝦名達夫は冷静と情熱を帯びた口調で次のように言った。
「去年の悔しさを晴らしたいので、1番打者として試合に出て日本一になりたい。本当、2連覇したいですよね」
今シーズン、27年ぶりのリーグ優勝を目指したDeNAだったが、結果は残念ながら2位に終わった。それでも苦しんだ後半戦、クライマックスシリーズ(CS)進出に大きく貢献し、輝きを放ったのが6年目の蝦名だった。
後半戦で1番打者に定着
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7月後半からコンスタントに試合に出場し18試合連続安打を記録すると、さらに8月中旬からは1番を任され、レギュラーシーズン終了まで33試合連続出塁するなどリードオフマンとしての務めを果たした。
今季は115試合に出場し打率.284のキャリアハイをマーク。とくに8月は出塁率.441、長打率.556、9月は出塁率.421、長打率.495とチームのエンジンとしてストロングフィニッシュを飾っている。
夏場からの打撃好調について、蝦名は表情を変えることなく振り返る。
「よくメディアの方から『どこを変えたんですか?』とか訊かれるんですけど、そういうことじゃないんです」
そう言うと溜息を吐くようにつづけた。
「やっと、これまでやってきたことが徐々に出始めているのかなと。今まで積み重ねてきたことが身について、結果として表れるようになってきた。もちろんまだまだ完璧ではありませんが、本当に努力や日々の積み重ねが大事なんだと改めて感じています」
真面目な青森男
真面目で愚直な東北男。故郷にある青森大から2019年のドラフト会議で6位入団をして以来、とにかく黙々と研鑽を積み重ねてきた。入団当初は練習をし過ぎてオーバーワークに陥ったり、また無理をしてしまったゆえの怪我も少なからずあり、調子がいい時期があってもその波を維持することができなかった。そんな苦闘した過去が自身を育み、努力を止めなかったことで、いよいよ大輪の華を咲かせようとしている。

