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「じゃあお前なんかいらん」半年後、阪神・星野仙一監督に手渡された高級腕時計…「辛かったですね」“逆指名ドラ1”藤田太陽のヒジは限界だった

posted2025/08/30 11:02

 
「じゃあお前なんかいらん」半年後、阪神・星野仙一監督に手渡された高級腕時計…「辛かったですね」“逆指名ドラ1”藤田太陽のヒジは限界だった<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

完封勝利を収めた藤田太陽を出迎える星野仙一監督

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Sankei Shimbun

富山県を拠点とする社会人野球チーム「ロキテクノ富山」の監督を務める藤田太陽さん。2001年に逆指名で阪神タイガースにドラフト1位で入団した右腕は、波乱万丈の道のりを歩んだ。苦しんだ阪神時代の思い出、挫折を乗り越えてつかんだものとは――。NumberWebのインタビューに明かした。《阪神タイガース特集全4話の第3回/第4回に続く

◆◆◆

「寝坊して星野監督に蹴られた」写真週刊誌に載ったウソ

 藤田さんにとってプロ2年目の2002年から就任した故・星野仙一監督との思い出も忘れられない。

「キャンプ中、当時の写真週刊誌に『星野監督から蹴られた第1号』として載ったことがあるんですよ。藤田が寝坊して蹴られた、って。でも僕、キャンプで1回も寝坊していないし星野監督に蹴られたこともない。今思い出しても不思議ですけど、あれは何だったんでしょうね(笑)」

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 とはいえ、肘の故障から伸び悩むドラ1右腕に対して、“燃える男”は容赦なかった。2002年のキャンプ中、強化メニューのアメリカンノックを受けて右太ももを痛めてリタイアすると、「そんなヤツは蹴飛ばしておけ! 名前が太陽と言うても雲に隠れとるわ」と一喝された。

「調子はどうや?」。そんな指揮官の問いに、自信なさげに「頑張ります!」と答えると、「そうか、じゃあお前なんかいらん」と厳しい言葉が飛んできた。しかし、星野監督とのスパルタ問答は、意外にも苦悩を抱えた右腕の心を解いていった。

「星野監督としては、調子はどうだ? に対して『行けます! 自分を使ってください』と言うぐらい自信がある選手じゃなきゃダメだ、ということだったんでしょうね。僕は1年目で完全に自信喪失していたので、当時はもう鬱のような状態だったんですよ。監督は何とか闘争心に火をつけようとしてくれたし、我慢して使ってくれました。

『お前が先発だったら雨で中止の方がいい』とかよく言われましたよ。でもそういうやり取りをしているうちに、僕の中で徐々に“クソッ”という思いが出てきた。何くそ、やってやるぞ、って」

【次ページ】 初勝利の日…藤田は星野の監督室に呼び出された

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