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「何でも出来る。しかしまだ何者でもない」中日・根尾昂の現在地「内外野→先発投手→リリーフ」悩める神童に涌井秀章が伝えた“たった一つの助言”
posted2025/02/27 11:00

DeNAとの練習試合に登板した根尾
text by

小西斗真Toma Konishi
photograph by
SANKEI SHIMBUN
野手としては遊撃手でスタートし、のち外野手。投手となってからはリリーフで始まり、先発に挑戦し、今シーズンからは再びリリーフ投手として鍛えている。中日の根尾昂の野球人生の変遷である。まだ7年目。当然、インターネットを中心に、さまざまな意見が飛び交う。
内外野→先発→リリーフ
その多くは歴代指導者の一貫性のなさを指摘する声だ。この間の監督は3人。入団時から外野手までは与田剛。投手転向という大きな決断をしたのは立浪和義。そして再びリリーフに適性を見いだそうとしているのは、昨シーズンまで二軍監督として根尾を見ていた井上一樹である。
流転の6年間。一貫性のなさは、裏を返せばあらゆる可能性を試し、チャンスを与え続けてきたともいえる。しかし投げては30試合、0勝1敗1ホールド、防御率3.65。打っては241打数42安打(.174)、1本塁打、21打点(投手転向後も含む)。結論を出すのはむろん尚早だが、まだ何者にもなってはいない。
「国民の息子」化した神童
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小学生の時点で「飛騨に神童現る」と言われ、大阪桐蔭では全国にその名をとどろかせた。しかも両親が医師で、本人も成績優秀。スキーをやらせれば世界大会に出る腕前である。そんな根尾はいつしか「国民の息子」になっていた。自称とはわかっていても「父」「母」「兄」「姉」は、息子の現在地に納得がいかず、黙っていられないのだ。