プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「新井(貴浩)監督が怒ってないことを祈ります」侍ジャパンで大爆発の小園海斗(広島)に坂倉将吾捕手がツッコミ「シーズン中にやれよって」
posted2024/11/22 17:04
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
野球の国際大会「第3回プレミア12」は2次リーグのスーパーラウンドに突入。日本代表・侍ジャパンは初戦の宿敵・米国戦を広島勢の活躍で快勝した。
まずは小園海斗内野手(広島)の爆発だ。
1点を先制された直後の5回。同点に追いつきなお一、三塁の場面で、米国3番手のA・バーノン投手の153kmの内角ストレートを鋭く振り抜いた。
「何とか抜けてくれて本当に良かった。必死に食らいついた結果です」
鋭い打球が一塁手の差し出すミットの脇をすり抜けて右翼線に転がる勝ち越しの2点タイムリー三塁打となる。
そして飛び出したのが圧巻の2発である。
7回1死一、二塁から右翼に3ラン。8回にも2打席連発となる2ランを右翼席に運んだ。今季プロ入り初のフル出場を果たしてシーズンでの本塁打は2本。その2本を1試合で叩き出した。
「もう奇跡です。ちょっと怖いんで。明日は基本に忠実にやっていきたいと思います」
試合後の囲み取材。こう語る小園の横では、もう1人のヒーローと言っていい坂倉将吾捕手(広島)が、チームメイトの爆発をこういじっていた。
「凄いなと思って見ていました。シーズン中は2本しか打っていないのに、今日は2本も打って『ふざけるなよ!』ってなるんだけど(笑)。(広島の)新井さん(貴浩監督)が怒ってないことだけを祈ります。シーズン中にやれよって絶対に言われますよ」
小園も凄かった。ただしこの試合の勝利を攻守に支えた陰のヒーローと言えるこの坂倉の存在も忘れてもらっては困るだろう。
まずはバットだ。
小園の勝ち越しタイムリーを呼び込んだ同点打は5回1死一、二塁からだった。カウント3ボール1ストライクからの5球目。真っ直ぐ一本に絞って待っているところに、その真っ直ぐが低めに入ってきたのをドンピシャのタイミングですくい上げた。
「先取点を取られた後、すぐに取り返せて良かった」
坂倉が振り返った“痛恨の一発”
そう語った坂倉にはその直前の守りで、痛恨と振り返る場面があったのだ。