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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「3年目、俺やるよ」日本ハム・新庄剛志監督は密かに明かしていた…20年来の盟友だけが知る「過激パフォーマンスの裏側」「隠し通した素顔」
posted2024/09/28 11:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
JIJI PRESS
新庄監督と同学年の岩本氏は、指揮官の素顔を「凄くデリケートな人」と評する。二人の出会いは1999年のオールスターゲーム。当時は交流戦もなく、ファイターズの若きエースだった岩本氏と阪神タイガースのスター選手だった新庄とは初対面だった。
衝撃だった日本ハム移籍
「『岩本くんだよね』。そう呼びかけられた時、同学年でも“くん付け”する人が僕以外にもおったんだ、と驚きました。僕も絶対に呼び捨てはしないんです。そこから縁が始まったんですが、話せば話すほど、お互いの境遇に似ているものを感じて仲良くなっていきました。共に小さな頃はあまり裕福ではなく、父親を尊敬していて姉を大切にしているという家族への思いも通じるものがあった。いっちょ世の中を見返してやろう、という気持ちを持っているところも同じで、お互いに“気ぃ遣い”でもある。おもろい人間やな、と思っていました」
2003年オフ、ニューヨーク・メッツをノンテンダーFAとなっていた新庄は、日本球界の復帰先としてファイターズを選ぶ。北海道移転を翌年に控えるチームはまさに、開拓期であった。ベテランの域にあった投手・岩本もまた、新しい本拠地で出発するファイターズを全国区の人気球団にしたいという夢を抱えていた。二人は食事を共にするたび、「どうやったらチームが強くなるか」、「どうやったら人気が出るか」と話し合っていたという。
過激パフォーマンスの裏側
「よく『札幌ドームを満員にしたいね』という会話をしたのを覚えています。不人気球団でしたから、満員の中で投げるなんてそれまで相手チームの優勝とかイチロー人気で、というくらいしか経験がなかった。どうやったら人気が出るか、どうやったらチームは強くなるか、と熱く話し合っていたんです。北海道移転とともに新庄加入、というインパクトは本当に大きかった。スタイルが良くてビジュアル抜群でね。つーやん(新庄)は"二のセン"で行ってよ、俺は今まで通り三枚目でやるわ、ってそんな話をしましたね」
新庄はビジュアルとプレーだけでなく、今までの野球界では考えられなかったパフォーマンスで野球ファンの視線を惹きつけていく。独特ないでたちや、かぶり物パフォーマンス、天井からゴンドラで登場したこともあった。破天荒なようでその実、裏側では周囲に気遣いを忘れないその姿を岩本氏は見ていた。
「エンターテインメント的なことを沢山やっていましたけど、実は全て、しっかり根回ししていたんですよ。球団やスタッフに、これをやっても大丈夫ですか? ふざけすぎじゃないですか? って。生え抜きのベテランだった田中幸雄さんにも全て事前にお伺いを立てていました。普通は途中から入ってきた選手が好き放題やったら、チームに不協和音が出ると思うんですけど、それが全く出なかったのは彼が陰で繊細に気を遣っていたから。その姿には本当に感心しました」