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巨人「スガコバ」復活で防御率0.44…菅野智之34歳のために「直近5年の通算打率.116」同い年の小林誠司は“もう少し打てる捕手”となれるか
posted2024/04/23 11:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
34歳の巨人・菅野智之が久々に好調だ。一時はNPBを代表する絶対的エースであり、現役5位の123勝を挙げている大投手だが、昨年は4勝8敗、防御率3.36という成績に終わり、もうピークを過ぎたかと思えたが、現時点での防御率は0.44でセ・リーグでは同僚の高橋礼に次ぐ2位につけている。
復調のポイントはいくつかあったと思う。今季は短いイニングながら、オープン戦でもしっかり投げることができたし、100球近くなった終盤になっても球速があまり落ちていない。調整が久々にうまくいったのかもしれない。
しかしそれ以上に大きいのは「小林誠司」の存在ではないか。
捕手別で菅野の投手成績を見ると、やはり小林が
昨年、菅野の球は大城卓三が13試合、岸田行倫が1試合受けた。一方で小林誠司は極端な打撃不振もあって、2022年6月17日の中日戦を最後にバッテリーを組んでいなかった。
最近の菅野の不振と好調を「受ける捕手のせい」にするのは短絡的ではあろうが、菅野にとって同い年の小林は、最高の相方なのは間違いないところだ。
2013年に入団した菅野の投手成績を、捕手別で見るとこうなる(以下すべて4月22日時点)。救援登板を除く。
小林誠司:123試 63勝33敗872.1回813振 率2.09
大城卓三:62試 29勝20敗394.2回323振 率2.76
阿部慎之助:47試 23勝11敗322.1回259振 率2.46
炭谷銀仁朗:8試 3勝3敗44.2回41振 率4.03
加藤健:5試 3勝1敗33.2回20振 率3.48
相川亮二:4試 0勝3敗22.2回14振 率7.15
實松一成:2試 1勝0敗13回7振 率2.08
岸田行倫:2試 1勝0敗12.1回7振 率5.11
菅野が入団して最初に組んだ捕手は、現監督の阿部慎之助だが、その後は小林が正捕手となり、123勝の半分以上の63勝を小林とのコンビで挙げている。それだけでなく、防御率も2試合だけ組んだ實松一成に次いで良い2.09。
菅野が沢村賞を獲得した2017、18年はほぼすべての試合で小林がマスクを被っていて、17年WBCでは日本代表でもバッテリーを組んだ。「スガコバ」との愛称で多くのファンを持つが――菅野にとって小林は、まさにベストパートナーなのだろう。
阿部新監督になって復活した“スガコバ”
前述のとおり菅野と小林は同い年であり、入団年次も菅野が1年早いだけ。同世代で同じ時代を歩んできた。20代の若いころから30代に差し掛かり、同世代だけに「体力の衰え」も共感できたのではないか。