バレーボールPRESSBACK NUMBER
「甲斐、エグいです」男子バレー宮浦健人も絶賛する20歳甲斐優斗の成長が止まらない「日本に帰ったら、みんなびっくりすると思います」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2024/03/20 11:03
フランス挑戦中の甲斐優斗(専修大/20歳)。身長2mの高さだけでなく力強さも目立ち、同じパリ・バレー所属の宮浦健人(右)も驚きを隠せなかった
オフの過ごし方も一貫している。世界的大都市である“花の都”パリにいるのだから休日はエッフェル塔やオペラ座と、足をのばす場所はいくらでもある。SNSで発信するネタも尽きないように見えるが、「とにかく寝ています」と笑う。
「休みの日は昼過ぎまでゆっくりして、特にどこへ出かけるわけでもないし、練習がある日も午前中と午後の空いた時間は寝る。夜も早いと21時には寝ます」
パリに来てから大学生として勉学も怠っていない。オンラインで授業を受けながら、2月には学年末テストもフランスで受けた。日本のテスト時間とリアルタイムでパソコンの前にカメラを設置して、解答を紙に書いたものをスマートフォンで撮影して送る形式。やろうと思えばズルもできる?と冗談交じりに投げかけると、甲斐は苦笑いする。
「実際にテストを受ける時も資料やテキスト、持ち込みOKなんですけど、問題が難しすぎてそもそも何を答えていいか、何を見れば答えがわかるかもわかりませんでした」
いかなる状況でも動じることなく、あるがまま。それが甲斐の強みでもある。
熾烈なアウトサイドヒッター争い
フランスにはシーズン終了まで滞在する。帰国すれば、パリ五輪に向けた厳しいメンバー争いが始まる。期待が日増しに高まる中でも、浮かれることも余分に高ぶることもなく、この数カ月の経験を武器に今やるべきことに取り組むのみ。
「(日本代表では)サーブで出ることが多いと思うので、まずはサーブを安定させること。スパイクも高さを意識しながら、レセプションも強化していきたいです」
日本のアウトサイドヒッターは石川と髙橋に加え、五輪予選に出場した大塚達宣、富田将馬、東京五輪メンバーだった高梨健太、さらには今年2月に日本国籍を取得したデ・アルマス アラインなど錚々たる顔ぶれが揃う。伸び盛りの大器が、パリでどこまで進化を遂げるのか。甲斐を含めた熾烈なポジション争いが、世界の頂点へ向けて可能性を広げていく。