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「求められてるのは殴り合い」群馬の喧嘩自慢だった男は“Mr.ブレイキングダウン”と呼ばれ…川島悠汰がぶつかった“1分間格闘技の壁” 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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posted2024/03/01 17:00

「求められてるのは殴り合い」群馬の喧嘩自慢だった男は“Mr.ブレイキングダウン”と呼ばれ…川島悠汰がぶつかった“1分間格闘技の壁”<Number Web> photograph by BreakingDown

2月18日の『ブレイキングダウン11』にて対戦した川島悠汰(右)とポーランドの刺客

あっという間の1分間

 対戦相手はポーランドの刺客(というリングネームの選手)。身長やリーチで劣る川島としては、殴り合い以外のところで活路を見出したかった。人気とともにレベルが上がっていくブレイキングダウンの上位戦線で、新たな武器を身につける必要もあった。

 試合が始まると、川島はファーストコンタクトでカーフキックを見せる。

「カーフ、ローを混ぜながらやっていこうと。いつも序盤から殴り合って、冷静さを失っていたので。今回は距離を取って落ち着いて試合を進めたかったです」

 何発かロー、カーフをヒットさせた川島だが、相手は構わず前進しパンチを振ってくる。川島も打ち返したが後手に回った印象だ。1分間はあっという間に過ぎて、川島は判定でブレイキングダウン4敗目を喫した。

「自分が求められてるのは殴り合い」

 1分間という超短期決戦では、やはり回転力のあるパンチが最も効果的に思える。ただ打ち合いで熱くなりディフェンスが疎かになると、想定しない一発をもらう危険性も。勝つ確率を高めるならディフェンスを忘れず、距離を支配し、蹴りをうまく使うことも必要だろう。

 その一方で1分という時間が技術や駆け引きを帳消しにしてしまう部分もある。ノンストップのラッシュ、その勢いで押し切ってしまうこともできるのだ。だからブレイキングダウンは“アマチュアがプロに勝つ可能性がある”と言われる。

「今になって思いますけど、1分はメチャクチャ難しいですね(苦笑)。考えなしでいくとリスクがある。でも考えながらだと自分らしさがなくなってしまう。それだとブレイキングダウンらしい闘いでもないですし。

 そこは迷います。今回はつまらない試合でもいいから勝とうという気持ちだったんですけど、やってるうちに熱くなってきて。“ブレイキングダウンなんだから倒しにいかなくちゃ”と。闘い方が中途半端でしたね」

 蹴りを使った戦法に徹したほうがよかったのかもしれない。「でも、自分が求められてるのは殴り合いなんですよね」と川島は言う。

「この舞台で“探り合い”なんて、みんな見たくないじゃないですか」

【次ページ】 “不良の乱闘”ではないブレイキングダウンの競技性

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朝倉未来
川島悠汰
ポーランドの刺客

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