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「きょうはオマエが先生な」侍ジャパン山川穂高はなぜ“言語化”を求める? ロッテ4番候補・山口航輝(22歳)を変えるホームラン王の金言
posted2023/03/03 11:02
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
「朝から寝るまで、ずっと話をしていましたよ」
今年1月、千葉ロッテマリーンズの4番候補として期待される山口航輝外野手(22歳)は、埼玉西武ライオンズの山川穂高内野手(31歳)の自主トレに参加した。
「ほぼ野球の話。打撃の話。朝は早ければ8時から、夜は23時ぐらいまでずっと一緒にいて色々な話を聞かせていただきました。山川さんと言えば、来たボールに対して豪快にスイングをして簡単に打ち返してスタンドインしているイメージでした。でも、実際はそうではなく、結果を出すために緻密に色々なことを考えて、それをもとに練習を重ねて打っているのだとわかりました。こんなに色々な事を考えながら練習したのは初めて。本当に目から鱗が落ちるような日々でした」
WBC日本代表の主砲として期待が集まる山川に弟子入りした時間を、山口は目を輝かせながら振り返った。
「どこで自主トレしているの?」
この話を聞いたのは高知で練習試合が行われた2月26日のこと。偶然にも、自主トレに誘われたのはこの日から約1年前、同じ高知での練習試合のアップ中の出来事だった。
「外野で身体を動かしている時に『オマエ、どこでいつも自主トレしているの?』と声を掛けていただきました。それまではマリーンズの浦和のグラウンドで行っていたので、そのことを伝え、ぜひ一緒にさせていただきたいという話になりました。それまで試合で走者として出た時に一塁ベース上で挨拶するなど、少し会話をさせていただく程度だったのですが、(昨季は)シーズン中も試合前などに会話をしていただけるようになりました」
“山川塾”は1月3日に集合し、27日まで行われた。場所は前半が福岡、後半は山川の地元・沖縄に移動した。「1カ月間、同じ1カ所でやるとどうしても飽きるというか、慣れが出てしまい、緊張感が薄れてしまう。だから2カ所で行ったと聞いています。そういうことだけでも奥が深い」と山口は尊敬の念を込めて話す。
練習メニューは打撃中心かと思われたが、まずはノックなど守備に時間を割いた。「守備は打撃につながるから」と教えてもらった。守備だけでなく、午前中は坂を走ったり、階段を昇ったり、プールで泳いだりと、下半身強化に時間を割いた。そして午後からようやく打撃練習。振り込む量はやはり並ではなく、その時間を「延々と続く」と山口は表現していた。