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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「肩の骨が浮いてほっぺたに当たるんです。ビヨーンって」坂口智隆が語るケガとの壮絶な闘い 自由契約、移籍、引退…今明かす決断の裏側
posted2023/01/23 11:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Ichisei Hiramatsu
近鉄、オリックス、ヤクルトで活躍し昨シーズン限りで現役引退した坂口智隆さん。選手生活のターニングポイントとなった怪我との壮絶な戦い、引退を決断するまでの胸のうちについて語った。〈全2回の2回目/#1へ〉
近鉄の球団消滅、合併を経てオリックスの選手となり、徐々に力をつけていった坂口の才能が開花したのは移籍3年目の2007年のこと。「1番・センター」としてレギュラーを奪い、翌08年には142試合に出場。走攻守の三拍子揃ったリードオフマンとしてスターダムを駆け上がっていった。フルイニング出場した11年には最多安打のタイトルを獲得。チームの顔となった坂口に突如訪れた分岐点は、2012年5月17日、巨人との交流戦での大怪我だった。1回の守備で、巨人・坂本勇人の飛球にダイビングキャッチした際、右肩を強く打ち付けた。
「最初はあばら骨が折れたかと思っていたんです。それなら時間を置けばいけるはず。でも、体を動かそうとしてみたら全く動かなくて、肩をやったのか、と気づきました。そこから強烈な痛みが襲ってきた。自分にとって初めての大きな怪我でした」
診断は単純な脱臼以上に全治に時間がかかる「肩鎖関節脱臼」。右肩の靭帯が切れて、骨が完全にずれていた。
「肩の骨が浮いて顔のほっぺたに当たってくるんです。ビヨーン、って。実は10年経った今でも骨は浮いたままなんです。当時はバッティングより、投げることがきつかった。肩を上げると(隙間に)挟まって痛いし、骨がグニョ、ってなるんですよ」