プロ野球亭日乗BACK NUMBER
現役ドラフト成功のポイントは”ちょっと損した気分?” オコエ瑠偉(楽天→巨人)、陽川尚将(阪神→西武)…「すごく驚いたのが率直な心境」
posted2022/12/11 17:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS / Hideki Sugiyama
球団による温度差はあったものの、初めて行われた現役ドラフトは、一定の成果を上げた。
「すごく驚いたのが率直な心境」
阪神から西武に移籍することになった陽川尚将内野手は、球団から発表されたコメントの第一声でこう語っている。
プロ9年目の31歳。1軍通算301試合出場という陽川の数字は、今回の現役ドラフトで動いた野手の中でも最多だ。18年には75試合に出場して打率2割5分2厘、6本塁打、48打点をマーク。今季は開幕1軍を逃したものの、2度目の1軍昇格を果たした7月以降は左翼と一塁での先発を含めて45試合に出場、打率2割9分4厘の成績を残していた。
チーム内の立場としては、長打力もありレギュラーも狙えるセカンドポジションの選手だったが、逆に言えばそういう立場で既に5、6年も確固たる1軍での地位は掴めていない。
寝業師・根本陸夫が語っていた編成の難しさ
まさにこの新制度によって掘り起こされるべき選手であり、そういう選手をリストに上げた阪神の姿勢も評価されるべきである。
「これは自分にとってチャンスだと思うので、また一から精いっぱい頑張っていきたい」
本人も気持ちを新たにこの移籍を受け止め、新天地での活躍を誓っている。
陽川だけでなく、今回の現役ドラフトでは思った以上の選手がリストアップされた印象を受ける。
「トレードっていうのはどっちも損した気分にならなければ、どっちも成果のある交換はできないんだよ」
編成の難しさをこう語っていたのは、西武、ダイエーで辣腕を振るった寝技師・根本陸夫さんだった。