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スズメバチに刺されて難病が判明…中日のドラフト6位・田中幹也が向き合う運命と、主力放出の最下位チームを変える「忍者」への期待
posted2022/12/11 11:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
JIJI PRESS
厚労省の指定難病は、338ある。その97番に指定されているのが「潰瘍性大腸炎」である。難病情報センターのホームページによると「潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患」であり、症状は「血便を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛」とある。患者数は人口10万人あたり100人程度とされている。
スズメバチに刺され難病が判明
この病気と闘った野球選手が、ドラゴンズに入ってくる。ドラフト6位の田中幹也(亜大)である。診断されたのは大学3年の夏だった。
「北海道の帯広で合宿をしていたんです。スズメバチに左腕を刺されて、病院に行きました。血液検査をしたところ、ハチとは無関係の数値が悪かったんです」
医師は田中に尋ねた。「血便は出ていませんか?」と。図星だった。その年の春から血便と下痢に悩まされていた。医師に話すと、すぐに帰京するよう言われ、精密検査を受けた。
潰瘍性大腸炎の発病のメカニズムは、今も明らかになっていない。田中は投薬治療を試みたが回復は思わしくなく、10月に大腸の全摘出手術を行った。3ヵ月の入院で体重は11kgも落ちたが、4年春には実戦復帰を果たした。