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佐々木朗希と野田浩司の“19奪三振”に共通点が!? 27年前を知るレジェンド2人が語る「マリンの風」と「横滑りするフォーク」
posted2022/05/06 11:05
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Sankei Shimbun
「あの時もそうやったんよ、風がバックネットに当たってマウンドに向かって吹いてくる。野田(浩司)のフォークがほんまによう落ちてた。佐々木(朗希)君のフォークもいつも以上に落ちてたよな。たしか2試合とも春先……4月やったよなあ」
阪急・オリックスで活躍し、引退後はコーチとしてダルビッシュ有や田中将大らを育ててきた佐藤義則氏は、1995年4月21日の記憶を引っ張り出しながら、令和の怪物の投球を振り返った。
完全試合という大記録とともに、野田浩司が打ち立てた「1試合19奪三振」という数字に肩を並べた佐々木朗希。球界の名伯楽は、2人の投球にある共通点があることを教えてくれた。
「佐々木君の19個の三振映像を観てたら真っ直ぐが真下にストンと落ちるボールだけじゃなかったよな。右に左に曲がりながら落ちていた。バッターのインコース側に落ちることもあれば、アウトコース側に落ちるシーンも多々あった。野田の時は俺もグラウンドにいてブルペンとベンチで観ていたけど、風の影響もあって横滑りするフォークがあった。バッターは、ベースの手前で落ちてるのに振っていたからね」
球場は千葉マリンスタジアム。27年後に同じマウンドで佐々木が同じ数の三振を奪っている。当時も今も千葉の海から舞い込む風が、2人のフォークの変化を大きくしている可能性は高い。実況者としても、上段の放送席からフォークか、スライダーか、を見分けるのは難しい球場だ。それだけボールの軌道が風の影響を受けるということだろう。
ただ、それだけが要因ではない。27年前のあの日、マリーンズの選手としてグラウンドに立っていた初芝清氏は言う。