酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「見送るなや、入ってるやろが!」コーチの声に若手が燃えるDeNAファームキャンプ… “牧秀悟のトンボ”に心を打たれたワケ
posted2022/02/15 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
DeNA二軍の嘉手納野球場は、米軍嘉手納基地のすぐ横にある。4km近くも続く嘉手納基地からは、時折、軍用機が発着する轟音が聞こえてくると、沖縄だなと改めて思う。
球場自体は両翼91.5mと小さく、1986年開場の古い球場だが、陸上競技場や大型の屋内体育施設なども隣接し、練習環境としては整っている。昨年は雨にたたられて苦労したものの、今年は薄曇りながら気温22度。グラウンドで選手たちが元気に体を動かしている。
昨年、ドラフト前に取材し、独立リーグ徳島から育成で入った村川凪が、外野ノックで打球を追いかけている。足の速さはプロでも通用すると言われたが、課題は「それ以外」ではある。心なしか、昨年よりも精悍な表情になったように思える。
ADVERTISEMENT
内野では投内連携が始まった。この練習はどの球団もほぼ毎日、午前中に念入りに行う。走者、アウトカウントなどを変えて投手、野手が連携をしっかり確認し合う。
ひときわ大柄な外国人投手が必死の表情でボールを捕手にトスしている。
3年目のジョフレック・ディアスだ。ドミニカ共和国で行われたDeNAのトライアウトで採用され、1年目は独立リーグ神奈川フューチャードリームスに派遣され、昨年度はイースタンで8試合投げた。今年あたり、支配下登録を勝ち取りたいところ。「ナイス!」と周囲から大きな声が上がっていた。
出遅れた主力組も二軍キャンプに合流
一軍、二軍問わず、DeNAのキャンプは声が大きく、活気に満ちている。
新人の粟飯原龍之介、 2年目の小深田大地なども動きの良さを見せている。内地ならば9月下旬並みの気候であり、選手の動きは軽やかだ。
2ケタの大きな数字、3ケタの背番号の選手に交じって、1ケタの選手が内野守備に就いている。「2」の牧秀悟と「9」の大和だ。
昨年、打率3割をマークし新人特別賞を受賞した牧は、1月に鹿児島県鹿屋市で大和と自主トレを行った。内野の全ポジションを守る大和の高い守備力を学びたいと、牧が志願したものだが、その終盤の1月27日に2人とも新型コロナの陽性判定を受け、春季キャンプも出遅れていた。
大和は3日、牧は6日から二軍キャンプに合流した。まだ数日しかたっていないが、すでに守備練習に参加している。