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白血病公表、SNS開設…寡黙だった攝津正(元ソフトバンク)が情報発信を続ける理由「『言うべきことじゃないよね』って考えもあった。でも…」

posted2022/01/04 11:05

 
白血病公表、SNS開設…寡黙だった攝津正(元ソフトバンク)が情報発信を続ける理由「『言うべきことじゃないよね』って考えもあった。でも…」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

昨年1月に「慢性骨髄性白血病」を患っていることを発表した元ソフトバンク攝津正。現在は「グローブ再生工房Re-Birth」のアンバサダーも務める

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

PROFILE

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Shigeki Yamamoto

2009年に最優秀中継ぎ賞、12年には沢村賞を獲得した元ソフトバンク・攝津正(39歳)。19年の現役引退後、野球解説者やYouTuberとして活躍する中、21年1月に「慢性骨髄性白血病」を患っていることを発表。病気公表から約1年、現在の心境とこれからのセカンドキャリアについて聞いた。(全2回の後編/前編へ)

昨年1月、自身が患う慢性骨髄性白血病を公表

 現役生活は10年。ソフトバンクで最優秀中継ぎや優れた先発ピッチャーの証である沢村賞などのタイトルを獲得し、投手陣の屋台骨を支えてきた。そんな攝津正が饒舌となった話題は、野球ではなかった。

「自分を見てもらったらわかるように、『全然、大丈夫ですよ』って生活を見せたら、同じ病気の人もひどくは落ち込まないのかなって思ってですね。だから、病気のことを聞かれたらすべてお答えしています」

 2021年1月23日。

 攝津は自身のインスタグラムで、慢性骨髄性白血病であることを発表した。

 初期症状から診断結果を告げられた際の暗澹たる感情、治療方法や現状まで、SNSなどの個人発信だけでなく、様々な媒体を通じて病気と向き合う姿をさらけ出している。

「自分もそうだったんですけどわからないじゃないですか、実際に罹っていない人って。幸い自分は『元野球選手』っていうことで取り上げてもらえますし、白血病のことをもっと知ってもらいたい。それに骨髄ドナーですよね。ずっと足りないと言われていますから、僕が発信することでその事実を知って興味を持っていただけたら、少しは困っている人たちの役に立てるかなって。実際、インスタとか自分のSNSにたくさんメッセージをいただくんですよ。〈攝津さんは自分より重い症状なのに。元気が出ました〉みたいに。逆に僕がいつも励まされています」

「自分が発信すれば貢献できるかもしれない」

 病気を発症する以前との違いといえば、医師から処方された薬を服用するのと、定期的に診断を受けるくらいだという。あとはいつも通りの攝津正でいられる。

 他者からすればそれは、どうしてもセンシティブな問題だと受け取りがちだし、話を聞くにしても恐縮してしまうものだ。攝津はそんなこちらの思惑を察知するように、「全然、はい。大丈夫ですよ」と笑顔を向ける。表情に偽りは感じない。

 その攝津が、柔和な笑みを保ちながら胸襟を開くように、静かに言った。

「自分の性格的に病気のことを多分、言わないほうだと思うんですよ。実際に最初は『別に言うべきことじゃないよね』って考えもあったんです。でも、病気をいろいろと調べていくうちに今まで知らなかったことを知れて。『自分が発信すれば貢献できるかもしれない』と、だんだん思うようになってですね」

【次ページ】 圧巻の投球で12年沢村賞を獲得

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