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巨人育成ドラ4→一軍で2試合登板→戦力外… “大谷世代”独立Lでサブマリン転向・坂本工宜は「プロをあきらめきれない」
posted2021/06/30 06:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
2019年まで巨人に在籍した投手、坂本工宜(こうき)は、1年のブランクを経て今季から、さわかみ関西独立リーグの神戸三田ブレイバーズ(昨年まで兵庫ブルーサンダーズ)に入団。登録名を「工宜」と改め、再起を期している。
異色の経歴と言えよう。滋賀県出身で、関西学院高校に進み硬式野球部に所属したが高校時代は控え。関西学院大学では投手としてプレーすることを望んだが、「高校時代に投手経験がない選手は投手として出場させない」という内規があったため、準硬式野球部に進んだ。
2年生から投手として頭角を現し、2016年春に関学が6勝0敗2分で9季ぶりに優勝した際は、エースとして活躍。MVPにも選ばれた。
「巨人のスカウトの方が4年生のリーグ戦や全日本大会を見てくださって、2016年の育成ドラフト4巡目で指名していただきました」
準硬式野球出身の男が畠や大江らと“同期”に
巨人の同期入団には吉川尚輝(1位)、畠世周(2位)、大江竜聖(6位)らがいる。
そもそも準硬式の選手がNPBの指名を受けるのは異例のことだ。普通であれば、企業に就職してサラリーマンになるはずが、未来が大きく変わった。
「両親は、100%僕のやりたいことを応援してくれました。僕も憧れの球団に入れたんで凄い嬉しい印象もありましたし、チームに貢献したいという気もありました」
入団1年目の2017年は二軍戦にも出場せず、三軍戦への出場にとどまった。
「硬球に慣れる必要がありましたし、試合感覚を身につける必要もありました。コーチの方の助言もあったのでとにかくイニングを投げようと思っていました」
シーズンオフには宮崎県でのフェニックスリーグ、台湾でのアジアウインターリーグにも出場し、実戦経験を積む。とにかく年間通して試合をこなすことに専念した。