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25歳プロ8年目で掴んだ開幕投手、ロッテ二木康太に問う「エースとは何か?」…マスターズ松山英樹を見てよみがえった10歳の記憶とは?
posted2021/05/01 11:01
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Sankei Shimbun
登板日の夜は気持ちが高揚して眠れない――。
埼玉西武戦に先発した4月9日もそんな夜だった。
テレビをつけると、ゴルフの「マスターズ」の中継が流れていた。自身も趣味で嗜むゴルフ。少しはリラックスが出来るかと、千葉ロッテマリーンズ・二木康太は夜半過ぎまでぼんやりとモニターを眺めていたという。そこで日本人プレイヤーの活躍に目を奪われた。松山英樹だ。
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松山は2日目に首位と3打差の6位タイに入ると、3日目には大幅にスコアを伸ばして2位に4打差をつけて首位に躍り出た。
「今回のマスターズはテレビの前で凄くワクワクして見ていました。自分自身がゴルフを好きなこともあるんですけど、最終日まで凄く楽しかったし、ワクワクもしながら、ずっと見ていました」
日に日に増していく「優勝」への期待感。最終日、松山が2位ウィル・ザラトリスの猛追を1打差で凌ぎ切ると胸が熱くなるのを感じた。
いつか自分も世界を相手にした大きな舞台で投げてみたい。二木は少年の頃に抱いたある夢を思い出していた。
昨シーズンは9勝も「悔しい思いをした」
鹿児島情報高から2013年のドラフト6位で千葉ロッテに入団。当時、無名に近かった身長190センチの長身右腕は、プロ8年目の今季、ついに開幕投手を務めるまで登り詰めていた。
「まさかって感じですね。全く想像は出来なかったです」
鹿児島から遠く千葉までやって来た18歳当時は、06年までロッテが同じ鹿児島県内で春季キャンプを張っていたことも知らなかったくらい朴訥とした少年だった。体の線も細く、球速は130キロに満たなかったこともあったという。そんな二木が8年後に、プロの開幕投手を務めたのだ。本人だけでなく誰もが想像出来なかったことに違いない。
「本当に周りの皆さんのおかげだと思っています。もちろんプロに入ってからもそうですし、プロに入る前の指導者だったり、チームメイトだったり、自分に携わっていただいた全ての人達のおかげだなって思っています」
プロ3年目には一軍の先発ローテーション入りを果たし、昨季はキャリアハイとなる9勝を挙げ、自身初となる6つの“勝ち越し”を決めた。誰も彼の開幕投手について異論を言うものはいない。しかし、当の二木は昨年の成績に満足している様子ではなかった。
「毎年『今年こそは』の思いでやっているのですが、毎年ファームに落ちる時期があって、良くない時期が必ずありました。納得が行くシーズンもまだ送れていないですし、悔しい思いをしたことの方が印象に残っています」
今季は開幕のソフトバンク戦こそ躓いたが、その後の3試合は全て7回まで投げ切ってクオリティスタートを達成。この間の防御率も1.71と上々のスタートを切った。4月21日にコンディション不良で一度、先発を飛ばしたが、すぐに練習に復帰したところを見ると問題もなさそうである。ゴールデンウイーク期間のどこかで復帰濃厚だ。