ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
筒香と同じ“5年目の大ブレイク”へ 細川成也に「同級生・阪神の佐藤輝明は気になりますか?」と質問したら…
posted2021/03/01 17:04
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
たずねた瞬間、これは失礼かなと思ってしまった質問だった。
「コロナ禍によりまだ来日できていない外国人選手の出遅れがありますが、これはチャンスではないですか?」
当然の質問ではあるが、ただ「競争相手が不在でラッキーではないか?」と捉えられても仕方のない質問だった。
しかし横浜DeNAベイスターズの外野手である細川成也は冷静にこう言うのだ。
「まあでも外国人選手がいるものだと思ってこれまで練習してきましたし、とくに気になりません。野球をやっている以上、誰がいたとしてもレギュラーを獲りたいのは当然なので、自分の足元を見てしっかりやっていきたい」
高卒5年目の細川は、ルーキーのときから浮ついたところがなく年齢のわりに落ち着いた選手だったが、ここにきてさらに泰然自若な風情をまといつつある。とても雰囲気がいい。
ファームの“キング”「無駄なものが省けていった」
昨シーズンの細川はファームの“キング”だった。打点と本塁打、最高出塁率の3つのタイトルを獲得し、申し分のない結果を出した。いわばファームにおいてもうやることはない、といっても過言ではない状況。あとは一軍で結果を出すだけだ。
「ファームでタイトルを獲ることができ、一軍へのステップは着実に踏めていると思っています」
細川は真っすぐ前を見据え静かに言った。
以前は力に頼ることの多かったスイングは、シンプルかつスムーズなものになった。人並み以上にパワーがあり長打が魅力の選手ではあるが、デビュー当時は力任せのスイングにより三振が多かった。その後反省しボールをじっくり見極めるようになると三振が減り、フォアボールが増えたまでは良かったが、今度は自慢の長打が鳴りをひそめてしまうなど一進一退を繰り返してきた。そしてようやく長打と打点、出塁をファームレベルであればコンスタントに期待できるところまで成長した。
「フォームに関しては年々、無駄なものが省けていったという感じですね。あらゆる観点から採り入れたトレーニングが功を奏し、シンプルなものに近づいていきました」
バッティング向上に“欠かせない人物”
ファームでの好調の要因とは何だったのか、と単刀直入に訊くと“目線のぶれ”の改善があったという。入団以来、指摘されていた問題点であり、ようやくそれが是正された。