酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
甲子園準V腕・安樂智大24歳が打撃投手、守備職人・藤田一也38歳は育成選手並みに… 楽天二軍キャンプの生存競争
posted2021/02/10 18:30
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
沖縄の春季キャンプも厳戒態勢でつづいている。中でも東北楽天ゴールデンイーグルスは球団創設以来続けてきた離島・久米島でのキャンプを断念し、一軍は昨年まで二次キャンプで使っていた沖縄本島金武町ベースボールスタジアムで実施。二軍は本島中部のうるま市具志川野球場で行っている。
この球場は1985年から92年まで中日が春季キャンプを張ったことがある。メイングラウンド、サブグラウンド、室内練習場など一通りはそろっているが、やや古びた印象があるのは否めない。
球場正面で検温し、PCR検査の陰性証明を見せ、取材申請する。申請を受け付けた伊東昂大広報は、選手が通りかかると「先に通って」と促し、ソーシャルディスタンスを取った。今年の春季キャンプは、取材をめぐってピリピリした空気が流れているが、プロ野球を無事開幕させるためには、かくあるべしと思う。
小さな球場で球団スタッフも限られているので、報道陣はバックネット裏のスタンド以外での取材ができない。テレビクルーなどもスタンドからネット越しにカメラを向けている。
そういう状況でも、春季キャンプは粛々と進められる。
33歳になった福井優也は厳しい表情で……
楽天一軍キャンプの様子は田中将大の加入で大きく報じられているが、二軍キャンプにも新人からベテランまで、様々な選手が体を動かしている。
ブルペンはサブグラウンドの向こうに設けられているが、小さくて一度に多くの投手が投げることができないこともあり、グラウンドの一塁側でも2人が投げることができるようになっている。報道陣はブルペンには行けないが、スタンドからブルペンで投げる姿を見ることはできる。
午前中、福井優也が投げていた。早大時代に斎藤佑樹と同学年だった福井も、33歳。楽天に移籍して3年目、結果を求められる立場なのは本人も重々承知。厳しい顔で投げ込んでいた。