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西武・高木渉の強烈なアピールポイントとは? 一軍定着へ山川や栗山の姿から学んだもの
posted2020/10/01 11:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
3年前の2017年10月26日、埼玉西武ライオンズからドラフト育成1位の指名を受けた福岡・真颯館高校の高木渉は、人目もはばからず号泣した。
「あのときは、もう単純にうれしかったですね。通常のドラフトが終わった時点でまだ名前を呼ばれていなかったので、もうダメかなって……。指名はなかったなってあきらめたところでの育成枠での指名だったので、驚きと喜びで……」
涙のことを聞かれ、照れ臭そうに笑ったあと、「まぁ、だいぶ前のことですけどね」と、わずか3年前のことを遥か昔の出来事のように振り返った。
8月はプロ初ヒット&ホームランも
確かに、高木の立ち位置はわずか3年で驚くほど変わった。育成枠から一躍、一軍のレギュラー候補へと躍り出たのである。
プロ1年目のオフには育成枠から支配下登録となり、二桁の背番号73で迎えた昨シーズン、二軍でチームトップタイの12本塁打を記録。6月6日には一軍初昇格初出場を果たした。2020年は開幕から二軍でチームトップの本塁打数を記録し、8月11日にシーズン初昇格すると、13日の東北楽天戦でプロ初ヒットを記録。試合中のアクシデントによる故障のため一旦、二軍に降格したものの、再昇格後の9月12日には地元・福岡での試合でプロ初ホームランを放つ。現在は再び二軍調整中だが、二軍戦では1試合で4安打1本塁打6打点を記録するなど抜きん出た活躍を見せている。
入団当時、高木について潮崎哲也二軍監督(現・編成担当)がこんなことを語っていた。
「どこまで伸びるかわからないくらいの能力の持ち主ですね。確実性を上げてリーディングヒッターになるのか、飛距離を伸ばして長距離打者になるのか、どちらもねらえる力がある。今はまだ自分がどういう選手になりたいか定まっていないかもしれませんが、高い目標さえ持てばすばらしい選手になる逸材だと思います」
まだまだ粗削りだが才能の塊であることは間違いない。