猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックス熾烈な外野争いをリード。
10年目、今年の後藤駿太はしぶとい。
posted2020/06/11 11:30
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
オリックスの外野手・後藤駿太は、地に足をつけて、3年ぶりの開幕スタメンを引き寄せつつある。
今年のオリックスの外野は狭き門だ。レフトの吉田正尚は不動。ライトには新加入のアダム・ジョーンズが入ることがキャンプの頃からほぼ確定しており、実質的に外野の枠は1つしか残されていなかった。その1枠を、後藤や小田裕也、宗佑磨、西浦颯大など10人近い選手が奪い合う熾烈な争い。怪我や不調で選手が入れ替わっていく中、後藤は着実に存在感を増していき、その1枠をつかもうとしている。
今年の後藤はしぶとい。
たとえば、6月2日の練習試合・ソフトバンク戦では、1点ビハインドの7回2死一、二塁の場面で、追い込まれてからアウトコース低めのボールに食らいつき、レフト前に運んで同点とした。
それは「チャンスで確実に1点を奪う」を求める首脳陣へのアピールとなり、6月の練習試合は全試合に9番・センターで先発出場を続けている(6月9日時点)。2本の本塁打もあれば、技ありの巧打もある。6月7日の広島戦では、5回2死満塁の場面でセーフティバントを敢行。それが相手のミスも誘って2点につながった。9日までの7試合で後藤は5打点を挙げている。
以前は、爽快なヒットを放つ場面がある一方で、チャンスにあっさり三振に倒れるというシーンも多かった。しかし今年は泥臭く、勝負強い後藤がいる。
開幕延期をプラスに変えた。
今年目指してきたのは、「ポイントを近くして引きつけて打ち、つまったとしてもしっかりと前に押し込める」打撃。3月のオープン戦の時にこう語っていた。
「自分の中で納得できる打席が増えてきているので、そこはすごくいいなと思うんですけど、まだまだできていないところも自分で見えている。開幕が延びたことを機に、ちょっとずつ調整していけば、もう少し結果が出やすくなると思う」
この3カ月間を、後藤は有効に使えたようだ。