酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
槙原寛己以来、完全試合達成なし。
過去と現代野球に見る難易度アップ。
posted2020/05/18 08:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
5月18日は、巨人の槙原寛己がNPB最後の完全試合を達成した日だ。1994年のこの日、福岡ドームの広島戦で達成した。史上15人目。以来、26年間にわたってこの記録は出ていない。
プロ野球の記録の中でも「完全試合」は、最も難易度が高い記録だ。個人が1試合で達成できる代表的な記録には完全試合、ノーヒットノーラン、サイクル安打があるが、難易度では断トツだ。
NPBで15回、MLBで22回の完全試合。
<NPB 1936年からの84年間>
完全試合 15回
ノーヒットノーラン 92回
サイクルヒット 74回
<MLB 1871年からの149年間>
完全試合 22回
ノーヒットノーラン 286回
サイクルヒット 293回
(ノーヒットノーランには完全試合を含む。ただし複数の投手によるノーヒットノーランや、自責点なし失点ありのノーヒットノーランは含まない)
これ以外に、ノーヒットノーランは、NPBではポストシーズンで1回記録されている。
MLBでは完全試合はワールドシリーズで1回、ノーヒットノーランはポストシーズンで1回記録されている。
この数字を見てもわかるように、ノーヒットノーランは、NPBよりもMLBの方がやや多い。これは65年の歴史差に加えて、MLBのアンリトゥン・ルール(不文律)に、「ノーヒットノーラン継続中の投手にバントを仕掛けてはならない」があることが関係しているかもしれない(サイクルヒットの出現率もMLBの方がやや高い)。
いずれにしても完全試合は、ノーヒットノーランやサイクルヒットの数倍~10倍といってもいいくらい難しい記録だといえよう。