プロ野球亭日乗BACK NUMBER
王貞治氏の提案で待望論再燃も……。
沖縄本拠地では「16球団」は難しい。
posted2020/04/17 20:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
ソフトバンクの王貞治球団会長がプロ野球を「16球団」とするエクスパンション構想を明らかにしてから、球団拡張への待望論が本格的に再燃してきている。
「野球のためには、できるものなら16、あと4つの球団が誕生して欲しい」
ソフトバンクの地元・福岡のテレビ局の新年報道番組でこう語った発言の背景には、野球の競技人口の減少への危機感があった。
「選手たちにとっても小さい人も、高校、大学でやっているような人にとっても受け皿があった方が絶対にいい」
ただでさえ少子化を超える勢いで野球をやる子供たちの数が急激に減少している。そういう現実の中で、野球をやることを選択した高校生や大学生すら、野球を続ける難しさがどんどんと迫ってくる。
選手たちの受け皿を作りたい。
高校や大学を卒業してプロの世界に入れる選手は、1年でせいぜい100人前後だ。
かつては受け皿の1つとして社会人野球があり、一流企業に就職しながら野球を続けるという道もあった。しかしその社会人野球のチームも、昨今は次々と休部や廃部に追い込まれているのが現状だ。
ならばプロ野球の間口をもっと広げることで野球への熱を高め、同時に選手たちの受け皿を作ろう――発言にはこんな思いが込められていたわけである。
その上で王会長が新たな球団誘致の候補地例として挙げた1つが沖縄だった。
沖縄には昨年、プロ野球チームの琉球ブルーオーシャンズが設立された。
同チームは独立リーグには所属せずに、日本野球機構(NPB)への新規参入を掲げて、元楽天監督の田尾安志さんをゼネラルマネジャー(現シニアディレクター兼打撃総合コーチ)に、元ロッテの清水直行さんを監督に迎えて始動している。
それもあって一気に沖縄へのプロ野球誘致の熱が高まり、王会長の発言を報じた地元スポーツ紙も沖縄への誘致は既成事実のように報じてもいた。