猛牛のささやきBACK NUMBER
23歳右腕が“冬の武者修行”で変化。
オリックス鈴木優が得たヒントとは。
posted2020/04/17 07:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
この春、オリックスの右腕・鈴木優の目の前から、一軍でのアピールのチャンスが幾度もすり抜けた。
まず、先発予定だった3月5日のロッテとのオープン戦(姫路)が雨のため中止となり、22日の楽天との練習試合(仙台)もまた雨で中止。次は24日に京セラドーム大阪で、ソフトバンクとの練習試合に登板する予定だったが、今度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で試合が取りやめとなってしまった。
鈴木は都立雪谷高校から2014年のドラフト9位で入団。まだ一軍登板が3試合で勝利がない6年目の23歳にとっては、今季は勝負の年だ。一軍首脳陣の前でアピールする機会は喉から手が出るほど欲しかったはず。
しかし鈴木は、「気にならないですね。ま、しょうがないって感じです。まだまだ自分の中で直せるところがあるので、この期間でもっと良くしていこうという感じですね」と泰然としていた。
2月のキャンプ中に、鈴木から聞いた言葉を思い出した。
「今年から僕、自分でコントロールできないことを気にしないで、目の前の1試合1試合を大事に、集中して投げていこうと思うようになったんです」
睡眠、部屋の温度・湿度にも気を配る。
きっかけは、昨オフにT-岡田、漆原大晟とともに参加したプエルトリコのウィンターリーグだった。
もともと鈴木は、「いろんなことにこだわって生きていた」と言う。
特にシーズン中は、食事や睡眠、体のケアなどにとことんこだわった。睡眠は毎日8時間半から9時間とる。その質も良くするため、ベッドに入る1時間半前からはテレビやスマートフォンは見ないようにして、本を読んだり音楽を聴いて静かに過ごす。部屋の温度は22度、湿度は50~60%で、年中一定にキープする。風呂には炭酸泉の発生機器も取り付けている。
試合に万全の状態で臨むためにできる限りのことをしてきた。
しかしプエルトリコでは、日本と同じようにはできない。滞在する部屋の環境や食事面だけでなく、向こうでは試合開始時間さえ、予定より遅れたり、時には早まることもあった。