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最下位予想を覆した2019年の楽天。
現れた救世主、石井一久GMの慧眼。
posted2020/01/04 11:40
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kyodo News
2018年、パ・リーグ最下位。
2019年3月。有識者によるプロ野球開幕直前の順位予想では軒並み最下位。東北楽天ゴールデンイーグルスの低評価は相も変わらず……だった。
約半年後の9月。
3位でレギュラーシーズンをフィニッシュ。
クライマックスシリーズのファーストステージでは、2位のソフトバンクに1勝2敗で敗退。でも、日本一となった福岡の鷹に、ポストシーズンで唯一、黒星をお届けしたのが東北の犬鷲だった。
お分かりいただけただろうか?
有識者のみなさん、'19年の楽天は強かったではありませんか。
とはいえ、開幕当初は彼らの消去法(多分)の予想が的中するのではないかと、犬鷲党が戦々恐々としていたのも事実だった。
3月に6年連続2桁勝利、5年連続奪三振王の則本昂大が右ひじ手術で前半戦絶望。開幕戦では、昨年の最優秀防御率投手の岸孝之が左太もも裏を負傷し離脱。
楽天がパ・リーグに誇る二本柱、絶対的ダブルエースを欠いたとなれば、我が軍勝利の雄叫び「わしほー」が、12球団で真っ先に全面キャッシュレス化を実現させた楽天生命パーク宮城であんまり轟かないんじゃないか。それどころか、敵にラリホーをかけられ、シーズン中、眠り続けてしまうのではないか?
笑わない男……もとい、笑えない選手たちの姿なんて見たくない。ファンの嘆きが東北に広がる。
美馬が、松井がフル回転。
不安? そんなことはわかってると言わんばかりに、意地を見せる選手たち。
「ふたりがいなくなったから負けたなんて、絶対に言われたくないじゃないですか!」
美馬学がローテーションを守り続ける(その後、チーム唯一の規定投球回クリア)。
「岸さんと則本さんが戻ってくるまで、自分らが頑張るしかないっしょ!」
守護神・松井裕樹がフル回転する(その後、初のセーブ王に輝く)。