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西武の原動力は山賊打線のみならず。
日本一へ期待高まる金子侑司の“脚”。

posted2019/12/26 11:40

 
西武の原動力は山賊打線のみならず。日本一へ期待高まる金子侑司の“脚”。<Number Web> photograph by Kyodo News

金子は今季41盗塁で3年ぶり2度目の盗塁王に。リーグ屈指の広い守備範囲でリーグ連覇に貢献した。

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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Kyodo News

 年末年始恒例、NumberWeb版“プロ野球・ゆく年くる年”。全12球団の今シーズンの振り返りと新シーズンへの期待を綴る短期集中連載シリーズです。
 第1回は12球団一の打線を誇った埼玉西武ライオンズ。悲願の日本一に向けて鍵を握る「脚」のキーマンとは?

 11月26日、NPBアワーズ2019の打撃部門の表彰が始まると、ステージにはライオンズの選手ばかりがずらりと並んだ。首位打者に輝いた森友哉を筆頭に、最多本塁打の山川穂高、最多打点の中村剛也、最多安打の秋山翔吾、盗塁王の金子侑司と、打撃タイトルでは最高出塁率を除く5部門を獲得。ベストナインにも5人が選出された。野手陣から合計6名が出席した2019年の表彰式は、ライオンズ打撃陣の活躍が一瞬でわかる風景だった。

 ただし、開幕前のライオンズに対する周囲の順位予想は厳しかった。投手陣の大黒柱・菊池雄星をメジャー移籍で失い、主軸の浅村栄斗、ベテランの炭谷銀仁朗はFAでチームを去った。辻発彦監督は「当然、厳しい戦いを覚悟している」と開幕前に腹をくくっていた。

 しかし、浅村が抜けた穴は残った選手で十分、埋められた。代わりにセカンドを守った外崎修汰や山川の成長、ベテラン中村の復活もあり12球団一の打線は健在だった。

山賊打線と脚の相乗効果。

 シーズン中、強力打線についての記事を書こうと取材を続ける中で聞いた、嶋重宣・二軍打撃兼外野守備・走塁コーチの言葉が印象に残っている。

「まず、中村、山川はモノが違いますね。ストライクゾーンの高低、インアウトだけではなく、投手からキャッチャーまでの球筋の前後にも、ホームランにできるポイントが数多くある。だからあれだけホームランをたくさん打てるんです」

 現役時代、“赤ゴジラ”と呼ばれた長打力の持ち主から見ても、彼らの打撃センスはズバ抜けているという。

 同時に、打者の能力だけが「打線の強み」ではないとも語った。

「バッターももちろん素晴らしい能力があるんですが、脚の速いランナーが、打者が打ちやすい状況を作っていたという部分も大きいですね。相手バッテリーはランナーを警戒して、盗塁しやすい球種やコースを避けるので、打者は自分がねらう球を決めることができます。ボール先行になって、打者有利な展開になる場面も多かったですよね」

“山賊打線”という呼び名の由来となった1イニングでの大量得点や、畳みかけるような攻撃は脚と長打が絡み合った相乗効果の賜物だった。

【次ページ】 「脚」で引っ張った金子侑司。

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