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藪恵壹は阪神ドラフトをどう見た?
「100」にもなれば「0」にもなる。
posted2019/10/26 11:30
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
10月17日に行われたドラフト会議。阪神タイガースは、例年とは大きく傾向の違う指名を見せました。近本光司、木浪聖也といったルーキーの躍動が目立った2019年シーズンの締めくくりとして、今回はこのドラフトに注目してみましょう。
まず1位で指名したのは、奥川恭伸投手(星稜高)でした。ここでのポイントは、高校生ナンバーワン投手の呼び声が高い佐々木朗希(大船渡高)を回避したということです。未完成な部分が大きい佐々木を育てきれるかどうか、というところで不安があったのでしょう。結局、佐々木を指名した4球団はいずれもパ・リーグの球団(ロッテ・日本ハム・楽天・西武)でしたから、その不安はセ・リーグの各球団に共通していたのではないかと思います。
奥川の抽選に外れ、続いて指名したのは西純矢投手(創志学園高)。この流れを見るに、1位の軸は、高校生投手、かつ現時点でピッチャーとしてある程度形ができている選手、というところにあったのだと思います。
個人的には、せっかく高校生投手を指名するなら佐々木、もしくは大学生ナンバーワンの森下暢仁(明治大学)や河野竜生(JFE西日本)といった即戦力の投手を、と思っていましたが……何を狙っているのかははっきりと理解できる、そんな1位指名でした。
甲子園を沸かせた高校生がズラリ。
2位には地元・大阪出身のスラッガー、井上広大外野手(履正社高)。その後、素材型として高く評価できる及川雅貴投手(横浜高)、昨年2位の小幡竜平との競争も楽しみな遠藤成内野手(東海大相模高)、U-18日本代表候補にも選出された藤田健斗捕手(中京学院大中京高)、小川一平投手(東海大九州)といった順番で指名が続きました。
甲子園を沸かせた高校生がずらっと並んだ顔ぶれは、まさに「ミーハードラフト」といえるでしょう。ただ、ポジション別に内訳を見ると、投手が4人、捕手が1人、内野手が1人、外野手が1人(育成で2人)となっています。戦力外や引退などで人が抜けたポジションを補強しており、バランスはしっかりと取れていると思います。