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2009年ドラフトの今を検証<ロッテ編>。
10年目荻野貴司が初の規定打席到達。
posted2019/10/11 18:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
第8回は千葉ロッテマリーンズです!
<2009年ドラフト>
1位 荻野貴司/外野手/トヨタ自動車
2位 大谷智久/投手/トヨタ自動車
3位 大嶺翔太/内野手/八重山商工
4位 清田育宏/外野手/NTT東日本
―育成―
1位 山室公志郎/投手/青山学院大
'04~'08年の5年間、成功選手に名をつらねたのは久保康友('04年自由枠)、大松尚逸('04年5巡)、根元俊一('05年大社3巡)、角中勝也('06年大社7巡)、唐川侑己('07年高校1巡)、西野勇士('08年育成5位)、岡田幸文('08年育成6位)の7人。このうち1巡(位)指名(自由枠を含む)が2人というのは少ない。
このドラフトでの“迷い”が長らく下位低迷の原因になっていたのだが、'05年と'10年に日本一になっているように、安定感はないが瞬発力はある、というのが現在まで含めた過去15年間のロッテの特徴である。
だが、この'09年は成功選手が多い。
私が基準としている数字(投手=50勝/1セーブ、1ホールドは0.5勝換算)、300イニング。野手=500安打、1000試合出場)をクリアしているのは、他球団では横浜(DeNA)2(加賀繁を含む)、中日2、西武1、巨人1、ソフトバンク1、広島1、日本ハム1、オリックス1、楽天0、阪神0、ヤクルト0と軒並み苦戦している中、ロッテは荻野、大谷、清田が数字を上回った。彼らは、ほぼ毎年コンスタントに戦力となっている。
キャリアハイの数字を残した荻野貴司。
戦力と言ったものの、荻野は'18年までの9年間、100試合以上出場したシーズンは2回だけだった。その不安定さの理由は技術面の好不調ではなく、シーズン中に発生する故障。それが'19年は125試合に出場し、打率.315(初の規定打席到達で打撃成績3位)、安打160、本塁打10、盗塁28など、いずれの部門でもキャリアハイの成績を残した。今季も9月2日に腰痛で登録を抹消されたが、ほぼ大きな故障なくシーズンを乗り越えたのはこれが初めてである。
通算記録で見ると、盗塁の成功率の高さが際立つ。200盗塁以上の現役は荻野以外でも西川遥輝(日本ハム)、糸井嘉男(阪神)、大島洋平(中日)、田中賢介(日本ハム、シーズン後に引退)がいるが、荻野の成功率は西川の86.6パーセントに次ぐ2位の84.5パーセント。糸井、大島、田中が70パーセント台なので、その高さが実感できる。
ちなみに、現在168盗塁の山田哲人(ヤクルト)の成功率は87.5パーセントである。荻野、西川、山田の成功率の争いは私の秘かな楽しみである。