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2009年ドラフトの今を検証<SB編>。
高校生指名の礎は今宮健太の活躍?
posted2019/10/07 18:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Hideki Sugiyama
第4回は福岡ソフトバンクホークスです!
<2009年ドラフト>
1位 今宮健太/内野手/明豊高
2位 川原弘之/投手/福岡大大濠高
3位 下沖勇樹/投手/光星学院高
4位 中原恵司/外野手/亜細亜大
5位 豊福晃司/内野手/鳥栖高
前年、2008年ドラフトで成功といえる選手は5位で指名した攝津正の1人だけ。これはソフトバンクに限らず、全球団に共通する現象だが、この'09年は大きく羽ばたく選手が続出した。とくに目立ったのが1位指名選手の活躍である。
筒香嘉智(内野手・横浜)、荻野貴司(外野手・ロッテ)、今村猛(投手・広島)、菊池雄星(投手・西武)、長野久義(外野手・巨人)が成功組に名をつらね、この中にソフトバンクの1位、今宮健太も入る。
最初に断っておくと、1位で重複があったのは菊池だけである(西武、阪神、ヤクルト、楽天、中日、日本ハム)。もちろん、ソフトバンクは最初から今宮を1位で入札している。
川崎の後継者となった今宮。
このときのソフトバンクの遊撃手は'09年WBC日本代表の川崎宗則。年齢は28歳と若い。このシーズンはWBCにピークを合わせる調整が裏目に出て、打率.259(安打140)と低調だったが、その前後の成績を見れば'08年は打率.321、'10年は打率.316なのだから、5年先の後継者を用意しなくてもいいと誰だって思うだろう。しかし、川崎は'12年に海外FA権を行使してシアトル・マリナーズに移籍した。
川崎の後継者がいなければ守りの最重要ポジションに穴が空き、キャッチャーの城島健司のメジャー流出('06年)後、甲斐拓也が出現する'17年までの11年間、“城島ロス”に泣いた二の舞を演じるところだった。プロ3年目の今宮は'12年に126試合に出場し、打率.238ながら73安打を放ち、翌'13~'17年には5年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得している。川崎が同ポジションで2度の受賞なので、守りでの貢献では今宮のほうが上と言ってもいいかもしれない。
ちなみに、川崎がレギュラーだった'03~'11年のソフトバンクは優勝3回、日本一2回だったのに対し、今宮がレギュラーの'13~'18年は優勝3回、日本一4回と数字では上回った。今宮だけの貢献ではないが、彼が果たした貢献も小さくはないだろう。