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西武ルーキーが“置きティー”で成長。
目標の中村剛也はまだ「雲の上」。
posted2019/08/23 07:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
ホームチームの試合前練習の時間をいっぱいに使って、最後まで打撃練習に励んでいるルーキーの佐藤龍世は、ロッカールームに引き上げるのも最も遅い。
「今はスイングのときの力の入れ方に注意して練習しています。インパクトの瞬間が弱いと指摘されて、もっとうまく力が伝えられるように……。ずっと毎日、阿部(真宏)さんと赤田(将吾)さん(ともに一軍打撃コーチ)が練習に付き合ってくださっています」
その特別練習の成果もあり、出場試合数こそ多くはないが、8月21日現在、打率2割7分3厘、6打点の成績を残している。
今季は開幕一軍を勝ち取ったものの、4月20日に抹消。その後、5月24日に昇格を果たしてからはサードの守備固めや、中村剛也のコンディションを考慮しての交代など、随所で存在感をアピールしている。8月10日の千葉ロッテ戦ではプロ入り初本塁打も飛び出した。
ドラフト7位ながら一軍に抜擢。
174㎝、81㎏と体は決して大きいほうではない。しかし富士大学時代は1年生の春からベンチ入りを果たし、3年生のときには春季リーグで首位打者と最多本塁打、秋季リーグで最多打点を記録した。両シーズンで5割以上の打率を残し、スカウトに注目される選手となった。ドラフト指名は7位ながらも、入団直後は一軍キャンプに抜擢された注目のバッターだ。
赤田一軍打撃コーチは佐藤をこう評する。
「まず、思い切りのいいスイングをするところが最大の魅力です。初球からでも力強く振っていける。その上、追い込まれても柔軟に対応できる力がある。選球眼がいいので、ボール球にはつられず、変化球に対応したバッティングもできる打者です」
二軍から一軍に昇格した野手が最も苦戦するのが、一軍の一流投手の低めにコントロールされる変化球だ。ただし佐藤はボールゾーンと判断すれば見逃すこともできる。かと思えば、初球からチェンジアップやフォークボールなどその投手が得意とする球種を痛打。その「変化球を強く振る力」を赤田コーチは褒めた。