令和の野球探訪BACK NUMBER
「森下暢仁の球質は岸孝之のよう」
日米大学野球のドラフト候補の評価。
posted2019/07/28 11:50
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
第43回日米大学野球が開催された。6日間で松山、今治(ともに愛媛)、岩国(山口)、郡山(福島)、神宮(東京)で5試合を行うというタフな日程の中、侍ジャパン大学代表(以下、日本)は3勝2敗で3大会ぶり19回目の優勝を決めた。
過去には、のちに日本を代表する好選手はもちろんのこと、ジャスティン・バーランダー(アストロズ)やダスティン・ペドロイア(レッドソックス)らMLBを代表する選手たちも数多く出場してきた同大会。
投打にMLBドラフト1巡目候補の選手を擁するハイレベルな相手と、いかに対峙するか。今秋ドラフト候補の4年生たちにとっては大きなアピールの場となった。
米監督も森下暢仁のピッチングに脱帽。
MLB予備軍とも言えるアメリカ大学代表の強力打線を相手に圧巻の投球を見せたのは、ドラフト1位候補の森下暢仁(明治大)だ。
東京六大学リーグ、全日本大学野球選手権で優勝を果たし、名実とも「日本大学野球のエース」として大会に臨んだ森下は第1戦、第3戦、第5戦に先発。どの試合も66球、70球、59球と少ない球数で勝利投手の権利を得る5回までを投げ、わずか2失点。2勝を挙げ、防御率1.20という文句のない好成績で最高殊勲選手賞を獲得した。
優勝後のヒーローインタビューでは「日本一の投手から世界一の投手になれました」と珍しいリップサービスをするほど気持ちを昂らせた。
150キロ前後のストレートと鋭い変化のカットボール、緩いカーブとチェンジアップを駆使し「コーナーを突かれ、緩急も上手く使われました」と相手のダン・マクドネル監督も脱帽。大会の視察に訪れていたMLBのスカウトも「マウンドでのアイデアが豊富。“こういう風に抑えよう”というのが見えますね。ストレートやカーブの球質の良さは岸孝之(楽天)のようなタイプに感じます」と高く評価した。