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日ハム玉井大翔の逆転人生に見る、
リリーバーたちの人間ドラマ。
 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2019/05/27 18:00

日ハム玉井大翔の逆転人生に見る、リリーバーたちの人間ドラマ。<Number Web> photograph by Kyodo News

観る者を感動させる逆転勝ちの裏には人生の逆転を狙うリリーバーたちの奮闘が隠れている。写真は昨年プロ3勝目を挙げた試合の玉井大翔。

プロ4年目吉田侑樹の役回り。

 ただ、そこに野球人生を賭けている選手たちがいる。尊い懸命さと、生き様が存在しているのである。

 北海道日本ハムファイターズでは吉田侑樹投手が現在、その役割を担っている。2015年ドラフト7位、今季で4年目を迎えた。先日、読売ジャイアンツで引退を表明した上原浩治氏、ファイターズOBの建山義紀氏らを輩出した東海大仰星高校を経て、名門・東海大へ進んでプロの門をたたいた。

 1年目は一軍登板機会がなかったが、ファームの先発ローテーション投手として安定感を発揮し、着実にステップアップしてきた。今シーズンは開幕一軍メンバー入りを逃したが、4月に一軍へ昇格。その時は1週間足らずで出場選手登録を抹消されたが、5月15日に一軍へ再昇格した。

 ファームでは昨季まで3年連続で規定投球回到達と、豊富な先発経験を持つ。ただ一軍では現在、劣勢の展開、荒れたマウンドに立つリリーバーである。一軍とファーム。舞台は異なり、託された役回りも対極にある。

一軍で投げることの意義。

 無情にも映るが、吉田侑投手の気概のベクトルは違うのだ。爽快に、語った。

「ファームではなく、どんな場面でもいいので一軍で投げるということに意味がある。自分の未来に関わってくると思っています。今、与えられているようなところで抑えていかないと、この先もないので。そういう世界にいる。一軍だから、楽しさの方が大きいです」

 ファームで相手打者を心地良く抑えるよりも、厳しい展開の中でも一軍で投げることに意義を見出す。当たり前と言えば、当たり前ではある。そこから野球人生の未来へとつなげようと、一球入魂しているのだ。

 ファイターズではこれまで、現在は社会人野球・日本通運でコーチ兼任の武田久投手、独立リーグ・石川ミリオンスターズの武田勝監督。中日ドラゴンズへ移籍した谷元圭介投手らも同様の起用法から、頭角を現していった。3人ともドラフト上位指名ではなかったが、リリーフ陣の屋台骨を支えるピースへとステップアップしたのである。

【次ページ】 劣勢でも投げ続けてきた玉井。

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