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阪神にいなかった“ニュータイプ”。
ドラ1ルーキー近本光司の未来像。
posted2019/05/20 11:15
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
タイガースは5月に入ってから20日現在まで8勝7敗1分、首位と3ゲーム差の3位タイ。本拠地で広島に3連敗したとはいえ、勝率5割をキープできています。4月の苦しい時期から比べると、得点が取れるようになってきています。
もちろん、対戦相手の状態なども関係してくるのですが、チームとして大きいのは打順が固定できたということだと思います。トップバッターにドラフト1位ルーキー・近本光司が定着したことが1番の要因ではないでしょうか。
20日現在まで、全44試合のうち43試合に出場して、打率.280、4本塁打、18打点、11盗塁という数字を残しており、出塁して、足で相手にプレッシャーをかけ、時には盗塁してチャンスを広げる。そして、クリーンアップのヒットで生還するという仕事をしっかりやっています。また、下位打線から繋がったときには、ランナーを返すという役割も担っています。
チーム状況によっては昨年のように1、2番を固定できないことも多々あるのですが、強いチームはやはり1、2番からの確固たる得点パターンを持っているものです。首脳陣も今年は開幕して間もなく「1番・近本」に迷いがなくなったことで、オーダーを組むのがずいぶん楽になったのではないでしょうか。
ベンチの雰囲気もプラスに。
近本は昨年の都市対抗野球で優勝した社会人・大阪ガスから即戦力と期待されて入団しましたが、本当にすんなりとプロの環境に順応したなというイメージがあります。
タイガースはメディアの多さ、ファンの気質など特別な点がいくつもありますが、入団、キャンプ、オープン戦、そしてシーズンインへと、周りをよく見て、コミュニケーションを取るべきところとはしっかりと話し合って、ある程度、自分のペースを保ってプレーできているなと思います。話をしても発言はしっかりしていますし、落ち着いていて賢い印象を受けます。
あとは矢野監督の方針で、ベンチの雰囲気がピリピリとしたものではなく、タイムリーを打った選手にガッツポーズを送るような雰囲気になったことも、新人選手がチームに入っていく上ではプラスになったのではないでしょうか。