猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックスの新切り込み隊長!
走攻守3拍子そろう西浦颯大の熱さ。
posted2019/04/19 07:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
本拠地・京セラドーム大阪でオリックスが今季5勝目を挙げた4月16日の試合後。この日4安打3打点の吉田正尚と、今季初勝利のアンドリュー・アルバースがお立ち台でヒーローインタビューを受けている姿を、西浦颯大は1人、ベンチに残って見ていた。今季、ホームで勝利した日はいつも、西浦はこうしてベンチでヒーローインタビューを聞いている。
「イメージトレーニングです」と笑った。
プロ2年目の19歳。今年は開幕戦から2番または1番で全試合に先発出場しているが、まだお立ち台に上がったことはない。
16日の試合はプロ初の猛打賞で、その3安打がすべて得点につながったのだから、お立ち台に呼ばれてもおかしくなかったのだが、「僕が打った日に限ってみんな打つんで、目立たないんです」と苦笑した。
確かに、この日は吉田が1本塁打を含む4安打、ステフェン・ロメロは2安打4打点、ジョーイ・メネセスは2本塁打というお祭り状態だった。
「はやくヒーローになりたいっす」
その時、お立ち台の上で言うことはもう決めているという。
開幕から好調だった1、2番コンビ。
開幕から6試合勝ち星なしと、今年もオリックスはスタートに思いっきりつまずいてしまったが、16日には5勝7敗3分と借金を2まで減らした。
最初は、打線が点を取ってリードしても、投手陣が終盤に追いつかれて延長戦にもつれ込み、投手陣が0に抑えている日は打線が沈黙するというチグハグな戦いが続いた。悩みの種は打線で、打率、得点ともにパ・リーグ最下位に沈んでいた。
ただ、その中で唯一気を吐いていたのが、福田周平と西浦の1、2番コンビだった。
オープン戦ではクリーンナップが好調で、西村徳文監督は「あとは1、2番の出塁率。もっともっと塁に出ないと」と毎日のように課題に挙げた。しかし開幕すると、その1番福田、2番西浦が躍動した。
安打や四球で出塁すると、自慢の足でガツガツと盗塁をしかけ、あっという間に得点圏にたどりつく。福田は開幕から打撃好調で、打率.308、出塁率.366、西浦も打率.276、出塁率.338。2人揃ってリーグ3位の5個の盗塁を成功させており、チームの盗塁数19はリーグトップだ(4月16日時点)。
4月前半は、1、2番で作ったチャンスをなかなかクリーンナップが得点につなげられなかったが、吉田正尚が本来の打撃を取り戻してきたこともあり、16日の北海道日本ハム戦では、西浦のチャンスメイクが大量得点の足がかりとなった。西浦は「やっと1、2、3、4番が噛み合った」と喜んだ。オリックスに、浮上のきざしが漂ってきた。