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猛虎はなぜ甲子園で弱いのか。
CSへの理想と現実を藪恵壹が分析。
posted2018/08/24 11:40
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
カープに優勝マジックが出て、タイガースは現実的に、本拠地でクライマックスシリーズを開催できる2位を狙っていく状況です。8月22日現在、2位ヤクルトと1.5ゲーム差の4位にいるので、十分に可能性はあると思います。
ただ、その中でひとつ気がかりなことがあります。タイガースはここまで、本拠地である甲子園球場で16勝25敗1分と負け越しているんです。逆にロードでは27勝25敗と勝ち越していて、これはセ・リーグで唯一なんですが……。
2位確保への条件を考えてみると、次の2つではないかという気がします。
(1)2位ヤクルト、3位巨人を相手にした直接対決15試合で、最低でも10勝すること。
(2)ホーム残り20試合で勝率5割以上、できれば、12勝以上すること。
そうなると、余計に甲子園での戦いが重要になってきます。
甲子園になると打力がさらに……。
最も熱狂的と言われる阪神ファンが声援を送ってくれる甲子園で勝てないのはなぜなのか。ホームとビジターの逆転現象が起きている理由はなんでしょうか。
それは得点力不足に尽きると思います。今シーズン、阪神の1試合平均のチーム得点3.97はリーグ最低、防御率4.01は2位で、数字で見る限り「守りのチーム」であることは間違いありません。そして、ただでさえ迫力に欠ける打線が、ホームゲームになるとさらに見劣りしてしまう。
もちろん、甲子園は他の球場に比べて広いので、どのチームでも得点力は落ちるのですが、タイガースの場合は、球場の“器”だけが原因ではないような気がします。
大阪の阪神ファンというのは、打って勝つことに喜びを見出す空気があるように思います。それは日本一になった1985年の打線や、バックスクリーン3連発に象徴されています。そのあとにリーグ優勝した2003年も、2005年も、打って、点を取って勝ってきた。その裏に堅実な守りもあったんですが、やはりファンが望んでいるのは、昔も今も打つことなんだろうと思います。