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「最後、1年でいいから同じチームでやりたかったな」戦力外通告、元阪神・北條史也からの電話…ロッテ・田村龍弘の告白「親が悲しんでましたね、幼なじみなんで」―2025上半期 BEST5 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/04/28 06:00

「最後、1年でいいから同じチームでやりたかったな」戦力外通告、元阪神・北條史也からの電話…ロッテ・田村龍弘の告白「親が悲しんでましたね、幼なじみなんで」―2025上半期 BEST5<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ZOZOマリンスタジアムでNumberWebのインタビューに応じた千葉ロッテ田村龍弘(30歳)

「2人のレジェンドにキャッチャーのいろはを毎日のように叩き込まれた。体で覚えましたね。実績のある人たちなんで、間違ってることを言われてもそれが正解だと思って全部、聞くしかなかった。それがよかったのかなと思います。バッティングなんかせんでいいから守備をやれって、ずっと言われてたんで。今いるロッテのキャッチャーの中でもいちばんしごかれたという自信はある。その誇りはあります」

 田村は2015年と2017年、リーグナンバー1の盗塁阻止率をマークしている。オールスターにも2度、選出され、2017年のアジアプロ野球チャンピオンシップでは日本代表にも招集された。ただ、こうこぼす。

「キャッチャー自体は好きじゃないんですよ。ほんと。高校時代、仲井さんにそれだけ打てて、キャッチャーやったらプロに行けるぞ、って言われて。ポジションはどこでもよかったんです。プロになれたら。でも、これで生きてきたんで。ほんまです。ほんまは好きじゃないんです」

「そこは語れないですね。なんか、失礼ですよね…」

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 恩師の仲井にプロに入ってからの田村のことを尋ねると、悟り切ったかのようにこう言った。

「田村は田村でがんばってるんでしょうけど、超えられないというか、もう、ちょっときついところもあるのかな、って。野球の技術はあるんですけどね。大谷君ほど努力ができるタイプじゃないんですよ。ははははは」

 高校生のとき、田村に初めて上には上がいることを教えてくれた大谷は、その後、観る者の想像をことごとく裏切り、人類の可能性がとてつもなく広大であることを示した。そして今もまだその過程にいる。

 こんな選手が日本から生まれたことに今でも信じられない気持ちになるが、田村なら今の大谷を見ても納得できるのだろうか。あの大谷なら、と。

 だが田村は何も話してくれなかった。

「そこは語れないですね。なんか、失礼ですよね。僕が同級生だからということだけであいつを語るのは。ただ、すごいとは思いますけど、尊敬とかはないですね。もう、一緒の場所にいないんで」

 もう見えないので。そう言っているかのようだった。

「最後、1年でもいいから一緒にやりたかったな」

 田村は今後の野球人生をこう語る。

【次ページ】 「最後、1年でもいいから一緒にやりたかったな」

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