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藤浪晋太郎“じつは5年前に伝えていた”メジャー挑戦の意思「阪神で1.5軍の選手だったのに…評価された」マリナーズ関係者も衝撃“フジナミの可能性”
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/29 11:08

2022年10月、ポスティングシステムによるメジャー挑戦を表明した藤浪晋太郎
「引っかかってましたね。切符を入れると、(ゲートが)バタンと閉まっちゃうんです。そのたびに説明して。何か証明書みたいなものを見せていた気がします」
規格外の身体に生まれたことで、人が想像しえない苦労もあったに違いない。
「身長がある上に、不器用なタイプなんで。どちらかといえば不細工な、がちゃがちゃしたような動きをするタイプというか。なので、何をするのにも人より時間がかかる。今もそうなんです」
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これまでいろいろな人から、いろいろなアドバイスを受けた。だが、なかなか参考にならないのも事実だった。
アメリカで解放した“性格”
オープン戦初登板のあと、藤浪の囲み取材に集まった記者は10人もいなかった。ちなみに、この5日後、大谷のオープン戦初出場に集まった記者の数は日米合わせると50人ほどいた。注目度の違いは歴然としていた。
大谷の話を持ち出すとき、相手が大物であればあるほど気を遣う。俺に他人の話をさせるのかと思われかねないからだ。
ただ、藤浪の場合は、こちらが尋ねる前に藤浪の口から大谷の名前が出た。それだけでもだいぶ気が楽になった。
阪神時代、藤浪は2つのギャップに苦しんでいた。1つは求められる投手像と本来の自分との溝で、もう1つは性格に関してだった。
「キャラクター的に、やや優等生キャラだったんで。今はそんなことないんですけど、昔はインタビューでも真面目な答え方しかしていなかったですし、割と、大谷じゃないけど、品行方正でいなきゃいけないと思っていたんで。自分でそういう風に振る舞っていましたね。世間もそう思っていたんでしょうし」
ここで大谷の名前を出すかと思わずツッコミたくなったものだ。
アメリカで解放されたのは投球スタイルだけではなかった。性格も、だ。
〈つづく〉

