Number Web MoreBACK NUMBER
アメリカにいた“無名の少年”がなぜ日本代表に? 男子バスケ代表の最年少・ジェイコブス晶(20歳)とは何者か「運命を変えた母の助言」―2024年上半期読まれた記事
posted2024/09/29 11:01
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
AFLO SPORT
2024年の期間内(対象:2024年5月~2024年8月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。スポーツ総合部門の第2位は、こちら!(初公開日 2024年7月27日/肩書などはすべて当時)。
運命は不思議だ。
前に進んでいたはずが、いつの間にか曲がりくねった道に入りこんでしまうこともあれば、行き止まりだと思ったところから新たなチャンスを見つけることもある。
パリ五輪男子バスケットボール日本代表チームの最年少選手、20歳のジェイコブス晶(ハワイ大)の運命は、この4年ほどで大きく変わり、彼も大きく成長した。
4年前の彼はまだ、アメリカの高校にいた無名選手だった。それが、今では八村塁や渡邊雄太を擁する“史上最強”の呼び声高い日本代表のメンバーのひとり。激しい競争を勝ち抜いてロスターの座を勝ち取り、パリ五輪で世界のエリート選手たち相手に戦おうとしている。
身長は八村と同じ203cm。体格やプレースタイルはどちらかというと渡邊に近い。サイズがありながら外からのシュート力を備えており、大会前の強化試合ではリバウンドでも光るものを見せていた。若いながらに、日本が大会ベスト8という目標を達成するためのXファクターになりそうな存在だ。
個人プレー重視の米バスケに馴染めず
ジェイコブスはアメリカ人の父と日本人の母の間に生まれ、生後まもなく渡米すると、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外で育った。子供のときにNBAを見てバスケットボールに夢中になった。高校に入った頃から身長も伸びたのだが、同じようなサイズの選手が多くいるアメリカでは目立たず、身体の強さも追いついていなかった。何よりも、1対1の個人プレーが多いアメリカの高校バスケットボールが性に合わなかった。
「アメリカにいたときも、チームワークの方が好きだった。でもアメリカのバスケは全然違って、チームメイトともあまり仲良くできなかった気がします」と振り返る。