Number Web MoreBACK NUMBER

立教大監督を解任→実業団選手に転身、上野裕一郎38歳に聞いた「電撃復帰」の真相「ひらまつ病院が拾ってくれた」「立教大の選手に会うと…」―2024年上半期読まれた記事 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/09/27 17:00

立教大監督を解任→実業団選手に転身、上野裕一郎38歳に聞いた「電撃復帰」の真相「ひらまつ病院が拾ってくれた」「立教大の選手に会うと…」―2024年上半期読まれた記事<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

立教大学を箱根駅伝出場に導いた上野裕一郎が昨年秋に解任され、「再就職先」として選んだのは、ひらまつ病院(佐賀県小城市)だった。復帰の経緯を本人に聞いた

 あるレースで卒業生の中山凜斗(西鉄)に会った。中山は、上野が監督時代、直接スカウトして来てもらった1期生であり、エースとしてチームを牽引した選手だった。あんな形で部を去ることになり、きっと恨まれているだろうなと思っていたが、中山は嫌な顔ひとつせず、「また一緒に陸上やれますね」と再会を喜んでくれた。中山の両親も来ており、厳しい言葉も掛けられたが、嫌な顔は見せずに最後は「がんばってよ」と励ましの言葉をかけてくれた。

「中山だけではなく、金栗記念のレースでは山本(羅生・4年)や馬場(賢人・3年)、國安(広人・3年)、青木(龍翔・2年)、高田(遥斗・2年)が僕を見つけて、パッと集まってくれたんです。みんなには『申し訳なかった』と謝ったんですが、みんな何事もなかったように接してくれて、大人になったなと思いました。こういう場で、みんなに会えたことはすごくうれしかったです」

上野が走りで証明する「正しさ」

 彼らが上野を囲んでくれたのは、監督としての手腕を認めていたからだろう。陸上部を4年で箱根駅伝に導き、個々のレベルを一緒に走りながら押し上げて、チームを成長させた。女子部員との関係は問題だが、かといって指導そのものが全否定されるわけではない。彼らに上野の指導は、確かに届いていたのだ。

「みんなに『体を戻して、維持できるんですか』って聞かれたんです。その時、『トレーニングはみんなに出していたメニューと同じことをしている。みんなとやってきたことが正しかったということを僕は結果で示していくから』と伝えたんです。これから部員は、高林(祐介)監督が作ったメニューで頑張っていくと思うんですが、僕は昨年までみんなに課した練習を今のチームの若手に伝え、一緒に頑張って行こうと思っています」

 その言葉通り、上野はいま、選手として着実に結果を残している。つづく

 

―2024上半期陸上部門 BEST5


1位:立教大監督を解任→実業団選手に転身、上野裕一郎38歳に聞いた「電撃復帰」の真相「ひらまつ病院が拾ってくれた」「立教大の選手に会うと…」
https://number.bunshun.jp/articles/-/863052

2位:「40人中39位」で滑り込み内定…女子ハードル田中佑美(25歳)に見る「モデル挑戦だけじゃない」“五輪戦略”の重要性「標準記録はマストではない」
https://number.bunshun.jp/articles/-/863051

3位:「“前髪直す人”みたいに言われていますけど…」自己流メイクのこだわりも…山本有真(24歳)が明かす“美意識の理由”「堂々と走れるんです」
https://number.bunshun.jp/articles/-/863050

4位:“久保建英のいとこ”から“陸上界のニューヒロイン”に…16歳で800m日本チャンピオンの久保凛 日本選手権で見せた「ホントのすごさ」とは?
https://number.bunshun.jp/articles/-/863049

5位:「オマエは決勝には行けないよ」「チームを解散しよう」“日本最速女王”田中希実(24歳)と父に訪れた危機…親子コーチゆえの難しさとは?
https://number.bunshun.jp/articles/-/863048

関連記事

BACK 1 2 3 4
上野裕一郎
立教大学
立教大学陸上競技部

陸上の前後の記事

ページトップ