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“久保建英のいとこ”から“陸上界のニューヒロイン”に…16歳で800m日本チャンピオンの久保凛 日本選手権で見せた「ホントのすごさ」とは?―2024年上半期読まれた記事

posted2024/09/27 06:01

 
“久保建英のいとこ”から“陸上界のニューヒロイン”に…16歳で800m日本チャンピオンの久保凛 日本選手権で見せた「ホントのすごさ」とは?―2024年上半期読まれた記事<Number Web> photograph by Asami Enomoto

前評判通りの強さを見せ、日本選手権初出場で初優勝を達成した16歳の久保凛。決勝の舞台ではこれまでのレースで見られなかった一面も

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山崎ダイ

山崎ダイDai Yamazaki

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Asami Enomoto

2024年の期間内(対象:2024年5月~2024年8月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。陸上部門の第4位は、こちら!(初公開日 2024年7月1日/肩書などはすべて当時)。

 弱冠16歳。それでも初の大舞台で、久保凛は最後まで冷静だった。

 新潟で行われていた108回目の陸上日本選手権。女子800m決勝では、優勝候補だった東大阪敬愛高2年の久保凛が、550m付近で一気に仕掛けた田中希実(New Balance)に反応。そのまま残り150mでスパートすると、そこからは後続を突き放し、同種目で8年ぶりの高校生チャンピオンに輝いた。

「この大きな舞台を楽しもうと監督とも話をしていました。楽しんだ上で勝ち切ることができたので、自分にとっても自信になります」

 初戴冠の女王は、初々しい表情とは裏腹に、しっかりと自信に満ちた口調でレースの感想を語った。

 久保は和歌山・潮岬中3年時の2022年に800mで全中王者に。昨年4月に東大阪大敬愛高に進むと、8月のインターハイでは1年生ながら同種目で優勝を飾った。今年4月に行われた金栗記念では田中とのデッドヒートに競り勝ち勝利。5月の静岡国際で2分3秒57のU18日本新、高校歴代3位の記録をマークし、木南記念も制するなど、トップ選手を抑えてGPシリーズ3連勝中だった。

ここまでの久保は「先行逃げ切り」

 今季の久保の走りでタイム以上に特筆すべきなのは、スタートから先頭を譲らない積極性だった。

 800mをはじめとした中距離種目は基本的に、誰かをペースメーカーにして後ろにつき、どこかのタイミングでスパートをかける形が最も効率的な走りだ。だからこそ、位置取りに関しても道中で駆け引きが要求される。圧倒的な実力差でも無い限りは、普通は序盤から先頭で走り切ることはほとんどない。なにより皆がそれを分かっているからこそ、前半から飛び出すにはかなりの覚悟が要求されるのだ。

 それでも久保は春のGPシリーズからこの日本選手権の予選まで、初めて挑んだシニア選手たちを相手に「先行逃げ切り」スタイルを選んでいた。そして、負けなかった。

【次ページ】 クレバーだったスパートの瞬間の「ある動き」

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