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「お前はやるべきじゃない」と言われても…800m日本王者は、なぜ箱根駅伝(約20km)に挑んだ? 田母神一喜が語る“異例の転向”の真相―2024上半期読まれた記事 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/05/05 06:00

「お前はやるべきじゃない」と言われても…800m日本王者は、なぜ箱根駅伝(約20km)に挑んだ? 田母神一喜が語る“異例の転向”の真相―2024上半期読まれた記事<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2021年の日本選手権で800m王者となった田母神。中大時代は20kmの長距離を走る箱根駅伝に4年時エントリーされたが、何が起きていたのか

「2年生の10月で寮を出ていたから、1年生とはまったく関わっていなくて。それですごい怖がられてしまって……。しかも、練習も同じメニューではないし、僕が主将になってから結果も出なくて。かなりきつかったですね」

 後輩との溝を埋めるため、練習前にはなるべく自ら話しかけるようにした。チームの一体化を図ったが、全日本大学駅伝の選考会は1年時に続いて出場を逃した。個人でも日本選手権で予選敗退に終わり、五輪の夢は遠のいた。

 自分はキャプテンとして何をすべきなのか。今度も横田コーチに悩みを打ち明けると、「じゃあ、思い切って箱根をやりなよ」という答えが返ってきた。田母神は決心する。

「簡単じゃない!」「お前がちゃんと走れていたら…!」

「やっぱり口で言うだけのキャプテンと、一緒に走ってみんなと苦楽を共にするキャプテン、どっちが良いかと言えば明らかに後者なんですよ。それで僕は箱根を目指すことにしたんですけど、反対したのが舟津で、『お前はやるべきじゃない』と。舟津もトラックで戦ってきたので、おそらく中距離と箱根を両立することの難しさをわかっていたからだと思うんです。でも、『お前が考えているほど簡単なことじゃないから』って言われてカチンときて(笑)。僕も舟津に『お前がちゃんと走れていたらこうなっていないだろ』って強く言い返したんですね。見ていた後輩たちはみんな凍りついたようにシーンとなっちゃって。あれはけっこう印象深いです」

1カ月に走り込む距離は3倍以上に増えた

 熱量の高い二人が本気でやり合う。ある意味ではそれも監督が期待したことであったのだろう。静かだったチームに闘争心の灯がともる。田母神は主将として腹をくくった。7月のレースを最後に中距離を封印。箱根に向けて、長距離の練習に舵を切ったのだ。

【次ページ】 10区の起用をほのめかされていた

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