Sports Graphic NumberBACK NUMBER

甲子園球場にカクテル光線を再現! レジェンド・鳥谷敬も驚いたLEDの最新技術「スポーツ照明にこんなプロフェッショナルがいるなんて…」

posted2024/03/28 12:00

 
甲子園球場にカクテル光線を再現! レジェンド・鳥谷敬も驚いたLEDの最新技術「スポーツ照明にこんなプロフェッショナルがいるなんて…」<Number Web> photograph by Shiro Miyake

2004年から2019年まで阪神タイガースの遊撃手として数々の記録を残した鳥谷敬

text by

福田剛

福田剛Tsuyoshi Fukuda

PROFILE

photograph by

Shiro Miyake

1956年に阪神甲子園球場で生まれ、各地の球場に広まった「カクテル光線」。“レジェンド”鳥谷敬が、伝統の灯をLEDで継承したパナソニックの挑戦に迫った。

――2022年3月に甲子園球場のナイター照明がリニューアルされ、パナソニックのLEDに変わりました。甲子園球場の照明と言えば、白とオレンジ色を組み合わせた「カクテル光線」が有名です。

岩崎 そうですね。今回のLED化にあたっても、最初に甲子園球場さんからカクテル光線を踏襲したいというご要望をいただき、白とオレンジ色のLEDを組み合わせ、「LEDカクテル光線」を実現しました。このオレンジ色のLEDは甲子園球場のために、開発担当の石井が約2年をかけて作り上げたものです。

石井 広いスタジアムを照らすには強い光を出すことが求められます。スタジアム用の白い照明器具はあったのですが、それと同じくらい大光量でかつオレンジ色の光を出すというのは技術的にすごく難しいんです。しかもただ、2色のLEDでグラウンドを照らせばいいわけではありません。一口にオレンジ色といってもいろいろなオレンジ色があります。白とグラウンドで混じり合ったときにちょうどいい色味になるように調整をする必要がありました。

岩崎 色味には数値で表す色温度という指標があります。甲子園球場の場合、白とオレンジ色の光がグラウンド上で混ざり合って、薄くオレンジ色が入った太陽光に近い空間を作っていました。それが芝生を一番きれいに見せ、選手のユニフォームを白く際立たせる光として、LEDでもこの状態を再現することが求められました。

石井 これが本当に大変でした(笑)。2色のLEDを様々な方向から照射させる上に、芝生や土の照り返しも考えなくてはいけない。気温によっても色は微妙に変化します。しかもテレビ中継の際に高精細カメラでグラウンドのどこを映してもきれいでなくてはならない。試作品を作っては担当者にチェックしてもらうのですが、「これはカクテル光線じゃないよね」と言われることもありました。それでも何度も調整を重ね、ようやく納得いただけるものができました。

最新技術で甲子園球場のレガシーを継承

鳥谷 照明がLEDに変わったことは気づいていましたが、まさかそんな苦労があったとは(笑)。最近は多くのスタジアムが採用しているLEDはクリアに見える一方で、全体が白い印象になりますよね。それに比べ甲子園球場はLEDっぽくない。オレンジ色が入っているからか温かみを感じます。

【次ページ】 照明の眩しさを抑制する新アウルビーム

1 2 3 NEXT

ページトップ