ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥の左ボディジャブは「他の選手と違って痛いんです」…“怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之がフルトン戦を分析「絶対に上への布石だと」―2023上半期 BEST5
posted2023/09/18 06:01

スティーブン・フルトンのボディに左ジャブを突き刺す井上尚弥。“怪物と最も拳を交えた男”黒田雅之は「井上選手のボディジャブは衝撃が段違い」と証言する
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
2023年の期間内(対象:2023年5月~2023年9月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ボクシング(井上尚弥)部門の第4位は、こちら!(初公開日 2023年7月30日/肩書などはすべて当時)
「大橋ジムで見た光景」が再現されたフルトン戦
――まず、なぜ井上はフルトンを圧倒できたと思いますか。
「1ラウンド目から井上選手が距離を支配していました。ジャブと距離で試合を組み立てるフルトンが、一番得意なところで潰された。ボクサーとしては精神的にショックです。井上選手はどの試合を見ても、相手の土俵でも上回る、そういうイメージがありますよね。しきりに『追う井上尚弥』と言っていましたが、ファイターみたいにガンガン追うというのは想像つかない。僕は精神的にプレッシャーをかける意味合いかなと思っていました」
――この展開は予想できましたか?
「ここまでとは思わなかったですが、大橋ジムさんにたくさん出稽古に行かせてもらって、彼が自分よりはるかにフレームの大きい、リーチの長い選手とやっているのを見ていて、割とああいう展開が多かった。自分からグイグイ行くよりも、相手のパンチが届くか、届かないか、ギリギリのところに立って、相手が動き出す瞬間に、先に左を打つんです」
黒田が井上と初めてスパーリングを行ったのは、井上がまだプロデビュー前の2012年5月。以降、2020年10月まで約8年半にわたり、150ラウンド以上も拳を交えてきた。
――以前、大橋ジムで見た闘い方なんですね。
「ずいぶん前に見た光景というか。スーパーフライ、バンタムあたりではああいうスパーを見ていなかった。まだ体の小さかったライトフライ時代に結構見た覚えがあります」