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「部活のルールも髪型も時代に合わせて変わっていくべき」。大久保嘉人と専属ヘアメイク・花井龍平が今話題の“部活ヘア”について語り合った。
posted2023/09/04 11:00

text by

福田剛Tsuyoshi Fukuda
photograph by
Asami Enomoto
丸刈りを当たり前に受け入れていた部活時代
花井 大久保さんの高校時代というと丸刈りでプレーしていた高校選手権が印象に残っています。国見高校のサッカー部は全員、丸刈りでしたよね。
大久保 国見高校はサッカー部とたしか野球部も全員丸刈りと決まっていたのかな。実は子供の頃からお父さんに髪型は丸刈りと決められていたので、プロになるまでは基本的には丸刈りだったね。
花井 じゃあ、国見高校のサッカー部に入部したときも髪型についてはすっと受け入れた感じですか。高校でサッカー部入らなかったのは髪型、校則の規定があるから入らなかったという苦い思い出があります。
大久保 その頃は本当に髪型のことはなんとも思ってなかった。元々将来サッカー選手になりたいという夢があって、そのために国見高校でサッカーをやりたいと飛び込んだ側だったので……。サッカー部に入ったら全員丸刈りにするというのは知っていたし、なんなら国見中学の男子は全員、丸刈りと校則で決まっていた(笑)。そういう時代だったということなんだろうけど……。だから丸刈りにしなきゃいけないからサッカー部に入るのを躊躇するなんていう考えはなかったよね。
花井 もし、高校時代に髪型が自由だったらどうしていました?
大久保 逆にちょっと嫌だったかもしれない。田舎だし、満足に髪を切るところもないから、どんな髪型にしたらいいのか分からない。100人を超えるサッカー部員が一緒に寮で暮らしているから絶対にネタにされるでしょ。そう考えたら恥ずかしいよね。そのときは丸刈りで良かったなと思う。でも、周りもみんな自由な髪型だったら伸ばしていたかもね。うちの長男は高校に進学するときに、強豪校は丸刈りにしないとダメだから嫌だと、髪型が自由な学校を選んだからね。そういう話をすると髪型くらい気にしないでサッカーに集中しろよと言う人もいるかもしれないけど、俺はそうは思わない。丸刈り嫌だけど我慢しなきゃと思ってサッカーをやるよりも、自分が気持ち良くプレーができるところに行った方が絶対にいいよね。
花井 お客さんで中学生の女の子がいるんですけど、所属している吹奏楽部は前髪を作っちゃいけないというルールがあって、いつもオールバックにするんです。その話を家に帰って小学6年の娘にしたらそんな部活絶対に入らないって言っていました。運動部だけじゃなくて文化部の女子にも髪型に決まりがあることに驚きました。いまだにこんなルールがあるんだって……。
髪型を変えることでモチベーションを高める
花井 僕が大久保さんのスタイリングをするようになったのはジュビロ磐田に移籍してからなので、そろそろ5年になります。毎回長さもカラーも変わるので美容師としては腕の見せ所があって嬉しいんですけど(笑)、本当に自由に髪型を変えていますよね。