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「体への負担がまったく違う!」経営者・豊田章男氏がレーシングドライバー・モリゾウの思いを込めてレーシングシューズを共同開発した理由
posted2023/09/07 11:00

ROOKIE Racingのドライバーとしてレースに参戦するモリゾウこと豊田章男氏
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Noriaki MITSUHASHI/N-RAK PHOTO AGENCY
小山先生との出会いは2015年になります。体のメンテナンスのために自分でトレーニングをしていたところ、食事をともにしたイチローさんから「僕が毎日やっている、とても気持ちがいいトレーニングがありますよ」と勧められたのが初動負荷トレーニング®でした。先生の本を何冊か読んでとても興味がわき、何とか時間を見つけて鳥取に行ってみることにしました。
小山先生とはもちろん初対面。これまで「モリゾウ」「アキオ!」などといろいろな呼び方をされてきましたが、大の大人に向かっていきなり「アキちゃんと呼ばせていただいてもよろしいですか?」と言われたときは驚きましたよ(笑)。
そんな出会いでしたが、これまでやったことのない動作を小山先生やコーチの方々に教えていただくにつれ「先生はまさに天才だ」と感動したことを今でも覚えています。このマシン、このトレーニングは自分の体と会話をする道具なんだなと気づかされ、必要不可欠なパートナーとなりました。
レーシングシューズの存在はとても大きいもの
ビモロシューズもそうです。履いた際、自分の体の可動範囲がこれまでと違っていることを実感でき、早速購入して愛用することになりました。イチローさんのスパイクがビモロということで憧れもありました。そんな折、小山先生から「アキちゃんもアスリートですよね? レーシングドライバーは体に大変な負担が掛かるのでしょう?」と聞かれたんです。
私はレーサーではありません。しかし一人のドライバーとして、もっと良いクルマづくりのために運転の訓練を続けている話、24時間耐久レースの話、それに向けた車両開発や走行訓練の話をしました。すると突然、小山先生から「ビモロでレーシングシューズをつくろうと思います。ぜひアキちゃんの足型を取らせてください」と申し出があり、話が進んでいったわけです。
ドライバーにとってレーシングシューズの存在はとても大きいものです。実際にレースで運転する際はもちろんのこと、それ以外もテストコースやサーキットで履いている時間は長い。私も完成したシューズを履かせてもらったとき“体への負担がまったく違う!”と体に喜びが走りました。
話は初動負荷トレーニング®に戻りますが、自分にとって新しい可能性を示していただいたと思っています。年齢を重ねても何とか運転を続けることができているのもこのトレーニングのおかげ。67歳になりながら疲労度も少なく、マスタードライバーとしてクルマに乗れる時間、“選手生命”のようなものが長くなっています。
学生時代から運動に打ち込んできましたが、実を言うときついトレーニングがあまり得意ではありません(笑)。「とても気持ちがいい」と言ったイチローさんのレベルを感じ取れているかまでは分かりませんが、少なくとも自分の体と向き合える大切な時間になっています。これからも変わらず続けていきたいと思っています。
ビモロ レーシング
RR Morizo Selection

小山氏とROOKIE Racing代表でドライバーの豊田章男氏(モリゾウ)、両者の共同・協業製作品として「ビモロ レーシング」シリーズが誕生。国際自動車連盟(FIA)公認モデルは9月末まで注文受付中。現在、同デザインの一般ユーザー向けドライビングシューズの商品開発が進行中。