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「プライド持てよ!」大谷翔平はなぜ“初めての日本代表”で一喝された?「今思えば、あの謙虚さが…」仲間たちが語る18歳大谷翔平の素顔―2022-23 BEST5
posted2023/05/02 06:00

2012年に18歳以下の世界選手権に出場した大谷翔平。藤浪晋太郎ら錚々たるメンバーと世界一を目指したが、結果は6位に終わった
text by

高木遊Yu Takagi
photograph by
Getty Images
2022-23の期間内(対象:2022年12月~2023年4月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。WBC(大谷翔平)部門の第5位は、こちら!(初公開日 2023年3月20日/肩書などはすべて当時)。
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「俺は寝てるからいいよ」
2012年の高校日本代表合宿で大谷翔平と同部屋だった佐藤拓也は、大谷のこんな言葉をよく覚えている。
「合宿の夜、野手のみんなで素振りをしようという話になって、僕が大谷を誘ったんですが、『俺はいいよ』と。普通、代表で知らない選手たちと集まったら、話をしながら素振りしたくなるものですけど、そのときに『大谷は自分のペースを持ってるんだな』と思いましたね」
一方、外野手の笹川晃平は、大谷が合宿で見せた身体能力に驚いていた。
「僕も肩には自信があったんですけど、僕が全力で投げるくらいのボールを大谷は軽く投げていたんです。こういう選手がプロに行くのか、と思いましたね」
「メジャー行くん?」関西勢から容赦ない質問
高校日本代表は、その年の8月から9月にかけて韓国で行われるIBAF 18U世界野球選手権のために結成された。
代表には藤浪晋太郎ら、その年の夏の甲子園で優勝した大阪桐蔭高から4人、準優勝した光星学院(現・八戸学院光星)高からも北條史也、田村龍弘、城間竜兵と大阪出身者が多く選出され、その「関西ノリ」に浦和学院高の佐藤と笹川ら、他地域の選手たちは圧倒されていた。彼らは大谷に遠慮なく「メジャー行くん?」と尋ね、大谷は柔和な顔ではぐらかしていた。誰かの彼女の話題で盛り上がっても大谷は加わろうとせず、輪の外で聞いて笑っていた。