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「いろいろな人が挑戦できる世の中になって欲しい」東大卒元プロ野球選手宮台康平が見据える、これからのサポートのカタチ 

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福田剛

福田剛Tsuyoshi Fukuda

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photograph byShiro Miyake

posted2023/03/31 10:00

「いろいろな人が挑戦できる世の中になって欲しい」東大卒元プロ野球選手宮台康平が見据える、これからのサポートのカタチ<Number Web> photograph by Shiro Miyake

 決して恵まれているとは言えない環境の中でも、高校3年の春の大会では神奈川県大会でベスト8に進出。全国大会の常連校である東海大相模と対戦し、3対0で惜しくも敗れた。

「全国に行くようなチームと全力で試合ができて、やっぱりワクワクしました。強豪チームと本気で勝負したいというのが野球人生を歩んだ原動力になっていたので、苦しい練習が報われた瞬間でした」

同じ境遇で頑張る後輩たちをサポートしたい

 これまでも母校の様子は気になっていたが、プロ野球選手として、練習に追われる毎日ということもあり、なかなか積極的にサポートはできていなかった。現役を引退し、これからサポートをしたいと思ってはいるものの、高校を卒業して約10年が経ち、母校とのつながりは途絶えてしまった。

「実はプロ入りが決まったときに、バッティングマシーンを購入して寄付したんですけど、顧問の先生がまだ代わっていなかったので、気軽に連絡を取れました。もし先生が異動してしまったら、後輩たちを応援したいと思っていても繋がりが途絶えてしまうので、形にするのがすごく難しいですよね」

 そんな宮台が注目したのが、昨年の10月にauがスタートした学生スポーツ応援コミュニティ『ANYTEAM(エニーチーム)』だ。

『ANYTEAM』は、全国の中学・高校・大学に所属している部活チームとファンとの交流や、同じ部活チームを応援するファン同士での交流を目的としたコミュニティサービス。応援したい部活チームへ応援メッセージの投稿ができたり、その投稿に対してファン同士で書き込みができる「ファンコミュニティ機能」を備えている。さらに応援したい部活チームへ支援金を寄付することができる「ドネーション機能」、具体的な課題を抱える部活チーム側がファンに対して直接情報を発信し、支援を募集することができる「クラウドファンディング機能」にも対応している。

※支援はANYTEAM公式で登録された学校のみに行えます
※支援者の氏名、住所等の情報は学校側に開示されます

「同じような環境で今も頑張っている後輩達を気軽にサポートできる、これはいいですね。常に支援できるよう窓口が用意されているというのはとても大切ですよね。スマホで簡単にできるというのはすごく魅力的です。また、OBやファンの方からの応援も当時モチベーションになったので、ファンコミュニティ機能もいいなと思います」

『ANYTEAM』による支援で「選手たちにはより自分達の練習に時間を使える環境を整えてあげたい」と言う。

「グラウンドの整備や用具を直すことに時間を使うのではなく、機材を購入することでサポートができれば、選手は自分の技術向上に集中できるんじゃないかなと思います」

 少子化などの影響もあり、学校側だけで生徒が部活に打ち込める予算を用意するのは年々難しくなってきている。昨年の夏の全国大会で勝ち進んだチームが資金不足となり、急遽クラウドファンディングで支援を呼びかけたというニュースも記憶に新しい。

「生徒数が減少して、OB・OGのサポートに頼るというシステムが成り立たなくなっている部分があるのかもしれません。そこはやはり変えていく必要があるなと思っています。その手始めとして、クラウドファンディングを活用するというのはいい方法ではないでしょうか。これまでOB・OGに頼ってきた部分を少しでもファンがサポートできるような仕組みがあったら、より野球人気を下支えできると思います。ぜひ多くの方に利用してほしいですね」

【次ページ】 武から文へ、新たな挑戦は続く

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