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「過去の自分を超えられると信じている」マラソン元日本記録保持者・Honda設楽悠太が“常勝チーム”のプライドを背負って3月の東京で復活を期す 

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NumberWeb編集部

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/02/28 17:00

「過去の自分を超えられると信じている」マラソン元日本記録保持者・Honda設楽悠太が“常勝チーム”のプライドを背負って3月の東京で復活を期す<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

チーム最年長の31歳になった今もマラソンへの熱い思いは変わらない

指導者と後輩の存在が挑戦する心をはぐくむ

 苦しい状況で、それでも必死に前を向く。思うように走れない中、練習に足を運ぶモチベーションは何なのだろう。

「一番は指導者ですね。自分が走れないときでも『考え込まなくて良いから』と言ってくれて……。ニューイヤーも2年連続で出られていないですし、本当にここ数年の成績からしたらいつ引退を告げられてもおかしくないんですけど、それでも自分の復活を信じて待ってくれている。その気持ちに応えたいですし、なにより試合で証明できたら良いなって思います」

 成績が低迷しても、キャプテンであることに変わりはない。練習中、後輩たちに引っ張られるシーンも増えてきたが、それも「チームにとっては嬉しいこと」と話す。

「本当についていくのが一杯いっぱいの時もあるんですけど、後輩たちがいなかったらこれだけ強度の高い練習はできていないので。負けたくないというか、キツいところで後輩たちが頑張っていると、自分だけ離れるわけにはいかないと思える。彼らの活躍も自分の刺激になっています」

 ベテラン、若手と関係なく、日頃の練習から競い合い、高め合う。挑戦することを良しとする風土は、HondaのDNAとして深く刻み込まれているものだ。

困難な状況だとしても、挑戦をたのしむ

 気づけば、チームの中で最年長の立場となった。若い頃のように無理が利かないことも増えてきた。今は後輩たちの後ろに必死に食らいつきながら、一筋の光明を見いだそうとしている。

「どこかの試合で走れれば絶対に(復調の)切っ掛けは掴めると思っているんです。昨年(12月)の甲佐10マイルロードレースでもタイムは良くなかったんですけど、自分が思っている以上の走りができた。特に前半は想定よりも遥かに速いタイムで通過できて、トータル的に納得のいく結果でした。少しずつですけど、状態は上がってきていると思います」

【次ページ】 自分が走ることで周囲の人達をつなげる

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